スマートウォッチのSIMの種類と必要かどうか
スマートウォッチにSIMが必要なのは、スマートフォンを持たずに通話やデータ通信をしたい場合だけです。スマートフォンと一緒に持ち歩くなら、Bluetooth接続でスマートフォン経由の通知や通話が使えるため、SIMは要りません。
スマートフォンなしで通信できる(単体通信できる)スマートウォッチは、通信の仕組みによって3つに分かれます。格安SIMを入れて使えるのは、主にSIMカード(nanoSIM)を挿すタイプです。
| 方式 | 代表的な機種 | 使う回線・SIM | 月額の目安 | 電話番号 |
| eSIM(セルラーモデル)+番号共有 | Apple Watch、Google Pixel Watch、Galaxy WatchのCellular・LTEモデル | スマートフォンと同じ大手キャリアの番号共有サービス | 385〜550円(税込) | スマートフォンと同じ番号 |
| SIMカード(nanoSIM)を挿すタイプ | キッズ向け見守りウォッチ、Android搭載の4Gウォッチ | 機種が対応する回線の格安SIMや専用SIM | SIMのプランによる | 音声SIMなら独自の番号 |
| 独自通信(キャリアのSIM契約不要) | Garmin fēnix 8 Pro | メーカーのサブスクリプション(LTE-M) | 1,180円〜 | メーカーのサービス経由で通話 |
月額は2026年10月時点の各社の公表値です。それぞれの方式の詳細は、以下の見出しで解説します。
SIMなしのスマートウォッチでできること・できないこと
SIMがなくても、スマートウォッチの多くの機能は使えます。Apple Watchの場合、ペアリングしたiPhoneが近くになくても、Wi-Fiにつながっていれば電話の発着信、メッセージの送受信、Siri、マップ、音楽のストリーミングなどが使えます。
Wi-Fiにもモバイル通信にもつながっていない状態でも、次のような機能は使えます(Apple Watchの例)。
・ワークアウト、心拍、睡眠、アクティビティの記録
・時計、アラーム、タイマー
・ダウンロード済みの音楽やポッドキャストの再生
・Apple Payでの支払い
Androidスマートフォンと組み合わせるGoogle Pixel Watchでは、扱いが少し異なります。LTE(単体通信)に対応していないWi-Fiモデルでは、通話の発着信やSMSの送受信にスマートフォンが近くにあることが必要です。LTEモデルでモバイル通信を設定していれば、スマートフォンが近くになくても、通話の発着信、通知の受信、音楽のストリーミングができます。
SIMがないとできないのは、スマートフォンもWi-Fiもない屋外での通話、メッセージ、地図などのリアルタイムの通信です。ランニング中にスマートフォンを持たずに連絡を取りたい、子どもが外出中も居場所を確認したい、といった使い方をする場合に、SIMによる単体通信が必要になります。
eSIM対応スマートウォッチ(セルラーモデル)と番号共有サービス
Apple Watch、Google Pixel Watch、Galaxy Watchのうち、単体通信に対応したモデル(「GPS+Cellular」「LTE」と表記されるセルラーモデル)は、本体に内蔵されたeSIMで通信します。eSIMは、端末に内蔵されたSIMに通信会社の契約情報を書き込む方式で、SIMカードを差し替えて使う仕組みではありません。
通信するには、スマートフォンで契約しているキャリアの「番号共有サービス」に申し込み、スマートフォンと同じ電話番号をウォッチでも使えるようにします。Apple Watchの場合、ファミリー共有で設定する場合を除き、iPhoneとApple Watchは同じキャリアである必要があります。
キャリア別の番号共有サービスと月額
| キャリア | サービス名 | 月額(税込) | 主な対象機種 |
| ドコモ(ahamo含む) | ワンナンバーサービス | 550円 | Apple Watch(GPS+Cellular)、Galaxy Watch 6以降、Pixel Watch 2以降 |
| au | ナンバーシェア | 385円 | Apple Watch、Galaxy Watch、Pixel Watchの対応機種 |
| ソフトバンク | Apple Watch モバイル通信サービス | 385円 | Apple Watch(GPS+Cellular) |
| 楽天モバイル | 電話番号シェアサービス | 550円 | Apple Watch Series 3以降のCellularモデル |
料金・対象機種は2026年10月時点の各社の案内に基づきます。ahamoでのワンナンバーサービスの申込はオンラインに限られます。
iPhoneを持たない家族(子どもなど)がApple Watchだけで使う回線としては、auの「ウォッチナンバープラン」と、ソフトバンクの「ファミリーサービス for Apple Watch」(いずれも月額385円・データ250MB)もあります。
番号共有サービスの申し込みと使い始めるまでの流れ
番号共有サービスは、ウォッチの初期設定と一緒に申し込むのが一般的です。Apple Watchの場合は、次の順に進めます。
①使いたいApple Watchが、契約中のキャリアの番号共有サービスの対象機種かを、キャリアのサイトで確認します。
②iPhoneとApple Watchをペアリングし、初期設定の途中で表示されるモバイル通信の設定を選びます。あとから設定する場合は、iPhoneのWatchアプリで「マイウォッチ」から「モバイル通信」を開き、モバイル通信の設定に進みます。
③画面の案内に従って、キャリアの番号共有サービスに申し込みます。
ドコモのワンナンバーサービスは、Apple Watch、Galaxy Watch、Pixel Watchそれぞれの設定アプリのほか、管理サイトやドコモショップからも申し込めます。ウォッチの設定アプリから自分で申し込む場合は、申し込みから利用開始までが一連の流れで完了します。ドコモショップで申し込んだ場合は、別途、利用開始の設定が必要です。
料金面で知っておきたいのは、ウォッチでの通話やデータ通信の扱いです。ドコモのワンナンバーサービスでは、ウォッチでの通信もスマートフォンで契約中の料金プランで利用する仕組みです。ウォッチ専用のデータ容量が別に付くわけではないため、スマートフォンの契約が小容量プランの場合は、ウォッチでの音楽ストリーミングなどで容量を使い切らないよう注意しましょう。
格安SIMでセルラーモデルが使えない理由
番号共有サービスは、キャリアが自社のスマートフォン回線にウォッチを紐づけて提供するオプションです。そのため、格安SIM(MVNO:大手キャリアの回線を借りてサービスを提供する事業者)でスマートフォンを契約している場合、多くはセルラーモデルを単体通信で使えません。ahamoのように、キャリアのオンライン専用プランが対象になっている場合はあります。
また、セルラーモデルのeSIMは本体に内蔵されているため、格安SIMのSIMカードを挿して使うこともできません。購入前に、スマートフォンを契約している通信会社が番号共有サービスを提供しているか、使いたい機種が対象になっているかを確認してください。eSIMの仕組みは次の記事で解説しています。
eSIMとは?メリット・デメリット、対応キャリア・端末を紹介
eSIM対応のおすすめモデル
2026年に発売された、セルラーモデルのある主要機種です。価格や仕様は変更される場合があるため、購入時は各メーカー・キャリアの公式情報を確認してください。
| 機種 | 発売 | 単体通信モデルの価格 | バッテリー(公称) | 組み合わせるスマートフォン |
| Apple Watch Series 12 | 2026年9月 | Apple公式ストアで要確認(GPS+Cellular) | 最大24時間 | iPhone |
| Google Pixel Watch 5 | 2026年8月 | 79,800円(41mm LTE)/84,800円(45mm LTE) | 最長40時間(45mm) | Android |
| Samsung Galaxy Watch9 | 2026年8月 | 84,480円(40mm LTE) | 約30時間(常時表示オン) | Android |
| Garmin fēnix 8 Pro | 2025年10月 | 206,800円(AMOLED) | 約27日間(スマートウォッチモード) | iPhone・Android |
価格は2026年10月時点の各メーカー公式情報に基づきます。バッテリーはメーカーなどの公称値で、使い方によって変わります。Garmin fēnix 8 Proはキャリアの番号共有サービスではなく独自の通信を使うモデルで、詳しくは後述します。
Apple Watch Series 12は、2026年9月18日に発売されたAppleのスタンダードモデルです。GPS+Cellularモデルの価格はケース素材やバンドの組み合わせで変わるため、購入時にApple公式ストアで確認してください。新しいヘルスセンシングシステムとS11チップを搭載するなどヘルスケア機能が強化され、バッテリーは通常使用で最大24時間、低電力モードで最大38時間です。iPhoneと組み合わせて使うため、iPhoneユーザーが対象です。
Google Pixel Watch 5は、2026年8月20日に発売されたGoogleのスマートウォッチです。41mmと45mmの2サイズにLTEモデルがあり、価格は41mmが79,800円、45mmが84,800円です。Wear OS 7.0を搭載し、日本向けモデルはSuicaやiDなどのモバイルFeliCaに対応しています。Androidスマートフォンと組み合わせて使います。
Samsung Galaxy Watch9は、2026年8月7日に発売されたSamsungのスマートウォッチです。40mmと44mmのLTEモデルとBluetoothモデルがあり、Wear OS 7.0を搭載しています。LTEモデルはドコモ、au、ソフトバンクからも発売されています。同時に発売された上位モデルのGalaxy Watch Ultra2(47mm)は、LTEモデルのみです。
SIMカード(nanoSIM)を挿せるスマートウォッチ
キッズ向けの見守りウォッチや、Androidを搭載した4G対応のスマートウォッチには、SIMカード(nanoSIM)を挿して使う機種があります。このタイプは、機種が対応している回線であれば、格安SIMやメーカーの専用SIMを使えます。スマートフォンとは別の回線になるため、音声通話付きのSIMを入れれば、ウォッチに独自の電話番号を持たせられます。
nanoSIMとeSIMの違いは、次の記事で解説しています。
nanoSIMとeSIMの違いとは?仕組み・メリット・デメリットをわかりやすく解説
使えるSIMの選び方
まず、入れるSIMの種類を使い方で決めます。
・データ専用SIM:位置情報の送信や、アプリを使ったメッセージ・通話だけで足りる場合に向きます。通常の音声通話用の電話番号は利用できません。SMS機能の有無はSIMの契約内容によって異なります。
・音声通話付きSIM:ウォッチに電話番号を持たせ、普通の電話として発着信したい場合に必要です。契約時には携帯電話不正利用防止法にもとづく本人確認が求められます。小容量なら月1,000円前後のプランもあります(例:IIJmioの音声SIM 5GB 月額950円・税込、2026年10月時点)。ただし、ウォッチ側で動作するかは別途確認が必要です。
種類を決めたら、nanoSIM型のウォッチに入れるSIMは、次の順に確認します。
①対応回線を確認します。たとえばキッズ向けの「myFirst Fone」は、ソフトバンク回線とドコモ回線のnanoSIMに対応し、au回線(タイプA)、5G SIM、eSIMには対応していません。
②対応バンド(周波数帯)を確認します。海外製の4Gウォッチは、日本のキャリアが使う周波数帯の一部にしか対応していない場合があり、つながりにくくなります。製品仕様の「4G LTE(FDD/TDD)」の対応バンドと、使うSIMの回線を照らし合わせます。
③通話するならVoLTEへの対応を確認します。ドコモの3G(FOMA)は2026年3月31日で終了し、4月1日以降は4G回線での音声通話(VoLTE)がオフ、または非対応の端末では音声通話ができません。
④必要なデータ容量を見積もります。ビデオ通話や常時の位置情報送信をする機種は容量を多く使います。myFirst Foneは月3GB以上のSIMを推奨しています。
⑤メーカーの動作確認済みSIMから選びます。格安SIMを使う場合は、ウォッチ側でAPN(接続先)の設定が必要になることがあります。
海外製4Gウォッチを買う前の技適の確認
通販では、海外メーカー製の4Gスマートウォッチも多く販売されています。日本国内で電波を出す機器には、電波法の基準に適合していることを示す「技適マーク」が必要です。総務省は、技適マークが付いていない無線機をそのまま使うと電波法違反になる場合があると案内しています。違反した場合の罰則は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。
購入前に、商品ページや本体で技適マーク(または技適番号)の表示を確認してください。海外からの短期滞在者が持ち込む場合の特例はありますが、国内で購入して使う場合は技適マークのある製品を選びます。
キッズスマートウォッチのSIM
キッズスマートウォッチ(子ども向けの見守り用スマートウォッチ)は、Wi-Fiだけで使える機種でも、自宅などWi-Fiのある場所でしか通話や位置情報の確認ができません。登下校や習い事の行き帰りに見守りたい場合は、SIMを入れて単体通信させる必要があります。
キッズスマートウォッチのSIMの選び方は、大きく3つです。
・メーカーの専用SIMを使う:たとえばmyFirst Fone用の「myFirst FreeSIM」は、月額980円(税込)のデータSIMで、ソフトバンク回線とドコモ回線を利用しています。専用SIMとして継続的な対応と動作保証が案内されているため、他社SIMを使う場合よりサポートを受けやすいのが特徴です。
・メーカーが動作確認した格安SIMを使う:myFirst Foneでは、ワイモバイル、BIGLOBEモバイル、y.u mobileなどが動作確認済みとして公開されています。ただし、音声通話に対応しているかは回線ごとに異なります。
・Apple Watchを子どもに持たせる:iPhoneを持たない子どもがApple Watchを使う場合は、auのウォッチナンバープランやソフトバンクのファミリーサービス for Apple Watch(月額385円・250MB)を使えます。保護者のiPhoneから管理します。
動作確認されていないSIMは、つながらない、電池の減りが早いといった不具合が起きても保証されません。購入前に、メーカーが公開している対応SIMを確認しましょう。
SIM契約なしで単体通信できるモデル(Garmin)
Garminの「fēnix 8 Pro」は、同社のinReach技術によるLTE-M通信を搭載したモデルです。キャリアのSIM契約なしで、ウォッチ単体でメッセージや音声メッセージの送受信、音声通話、位置情報の共有、SOS発信ができます。
利用には、月額1,180円からのGarminのサブスクリプションが必要です。プランによってメッセージ件数などが異なります。日本国内ではLTE通信のみで、衛星通信は使えません。本体価格は、2025年10月に発売されたAMOLEDモデルで206,800円です。バッテリーはスマートウォッチモードで約27日間と長く、登山やアウトドアなど充電しにくい場面に向いています。
単体通信のスマートウォッチを使う前の注意点
単体通信できるスマートウォッチは便利な一方、購入前に次の点を理解しておくと、使い始めてからの後悔を防げます。
・費用が二重にかかる:単体通信モデルは本体価格が高く、たとえばGoogle Pixel Watch 5はWi-Fiモデルが62,800円からなのに対し、LTEモデルは79,800円からです。さらに番号共有サービスの月額385〜550円がかかり、1年で約4,600〜6,600円になります。
・バッテリーの減りが早くなる:多くの機種は毎日の充電が前提です。公称のバッテリー時間は使い方で変わり、通信やGPSを多く使うほど短くなります。
・スマートフォンの契約に左右される:番号共有サービスはキャリアのオプションのため、スマートフォンを格安SIMなど対象外の通信会社に乗り換えると、ウォッチの単体通信が使えなくなる場合があります。乗り換えの予定がある人は、乗り換え先の対応を先に確認しましょう。
・海外製の4Gウォッチは保証と技適を確認する:技適マークのない機種は国内で使えない場合があり、動作確認されていないSIMでの不具合はメーカーの保証対象外になることがあります。
SIM対応スマートウォッチの選び方
SIM対応のスマートウォッチは、次の順に絞り込むと選びやすくなります。
①スマートフォンのOSで絞ります。iPhoneならApple Watch、AndroidならWear OSを搭載したPixel WatchやGalaxy Watchが基本です。Apple WatchはiPhoneとの組み合わせが前提です。
②通信方式を決めます。スマートフォンと同じ番号で使うならeSIM+番号共有、別の回線や格安SIMを使いたいならnanoSIM型、キャリアの契約を増やしたくないなら独自通信型が候補です。
③回線の対応を確認します。eSIM型なら契約中のキャリアの番号共有サービスの対象機種か、nanoSIM型なら対応回線、対応バンド、VoLTEを確認します。
④バッテリーの持ちを確認します。単体通信はバッテリーを多く使います。Apple Watch Series 12は通常使用で最大24時間、fēnix 8 Proはスマートウォッチモードで約27日間と、機種によって大きく違います。
⑤防水・耐久性を確認します。運動や屋外で使うなら、防水性能や耐衝撃性も比べます。
スマートフォン側のSIMの基本を確認したい場合は、次の記事も参考にしてください。