ドローン撮影の費用相場
ドローン撮影の費用は、依頼する内容によって3万円台から30万円超まで大きく変わります。まずは全体像として、どのような撮影にいくらかかるのかを押さえておきましょう。
依頼内容別の料金レンジ
2026年時点の一般的な料金レンジは、おおよそ次のとおりです。
・静止画のみのシンプルな撮影:3万〜5万円
・動画撮影と簡単な編集込み:5万〜10万円
・本格的なプロモーション映像の制作:15万〜30万円以上
撮影時間を軸に見る整理の仕方もあります。短時間の撮影(1〜2時間)で3万〜6万円、半日(3〜4時間)で5万〜12万円、1日(8時間前後)で10万〜20万円程度が目安です。この基本料金には、操縦料、標準的な機材費、撮影データの納品が含まれるのが一般的です。
なお、料金の基準が「飛行時間」ではなく「現地での拘束時間」になっている会社も少なくありません。ドローンは離陸前の安全確認や機材のセッティングに時間を要するため、実際に飛んでいる時間より現場に滞在している時間のほうが長くなるからです。見積もりを比較する際は、時間の数え方がどちらなのかを最初に確認しておくと、後の齟齬を防げます。
相場に大きな幅が出る理由
同じ「ドローン撮影」でも、格安の会社は3万円台から、実績を重ねた会社は30万円台からというように、価格帯には大きな開きがあります。この差は主に、使用する機材のグレード、安全対策にかけるコスト、そして技術料の3つから生まれます。
たとえば、色再現性の高いカメラを積んだ大型の業務用機体は、風に強く、重いカメラを搭載でき、飛行可能時間も長いという利点がありますが、そのぶん機材費が上乗せされます。また、市街地や催し場所などで撮影する場合は、飛行条件に応じて許可・承認の取得や立入管理措置、補助者の配置などが必要になることがあり、これらの安全対策コストも料金に反映されます。
つまり、価格差は必ずしも「割高・割安」を意味しません。使いものにならない映像が納品されれば費用はすべて無駄になりますから、金額だけで比較するのではなく、何が含まれた金額なのかを見極めることが重要です。
ドローン撮影を外注した場合の費用内訳
見積書に並ぶ項目の意味がわかると、どこを削れてどこを削れないのかが判断できるようになります。ここでは代表的な8項目を順に見ていきます。
基本撮影料
操縦士が現場で撮影を行うための費用で、見積書の中核をなす項目です。撮影プラン全体の設計、当日のディレクション、機材のセッティング、安全確認までを含むのが一般的です。
ドローン撮影は通常のカメラ撮影と異なり、航空法をはじめとする法規制の対象になります。撮影が可能かどうかの判断、可能にするための条件整理といった事前調整に、実際の撮影時間よりも長い時間を要することは珍しくありません。基本撮影料は、こうした見えにくい調整工数を含んだ「人と時間」のコストだと理解しておくとよいでしょう。
機材費
標準機材以外を使う場合に発生する追加費用です。4Kを超える解像度が必要な場合や、シネマカメラのような重量のある機材を積む場合には、対応できる業務用機体に変更する必要があり、そのぶん費用が上がります。
また、機材費にはメンテナンス費用を含めて計上する会社もあります。ドローンは消耗品であるプロペラやバッテリーを定期的に交換する必要があるため、こうした維持費が単価に織り込まれているケースです。
追加スタッフの人件費
操縦士のほかに、カメラ操作を担当するオペレーターや、周囲の安全を監視する補助者が必要になる場合、その人数分の人件費が加算されます。
補助者の配置は単なる人員増強ではなく、飛行条件や飛行マニュアルの内容によって求められる場合があります。第三者が立ち入る可能性のある場所では、看板やコーンによる表示、補助者による監視といった立入管理措置が必要になることがあり、その場合は「補助者を減らして安くする」という調整ができません。ただし、立入管理措置が常に補助者の配置を意味するわけではなく、飛行形態によっては機上カメラの活用などで代替できる仕組みもあります。
交通費・宿泊費
撮影場所までの移動にかかる費用で、依頼者負担となるのが一般的です。会社によっては特定エリア内であれば出張費が無料という設定になっており、それ以外の地域では距離に応じて加算されます。
遠方の撮影で前泊が必要になる場合は宿泊費も発生します。天候待ちの日程が入る可能性がある案件では、宿泊費が想定より膨らむことがあるため、あらかじめ上限を握っておくと安心です。
ロケハン費
撮影場所の事前調査にかかる費用です。飛行経路上に障害物がないか、離着陸に使える場所があるか、電波状況に問題はないか、周辺に配慮が必要な施設はないかといった点を、撮影当日より前に現地で確認します。
相場は1人1日あたり2万〜3万円程度です。近隣の見慣れた場所であれば省略できることもありますが、初めて飛ばす場所や条件の厳しい現場では、ロケハンを省いたことで当日飛ばせずに撮影が丸ごと流れるリスクが生じます。削るかどうかは慎重に判断したい項目です。
飛行許可・撮影許可の申請費
この項目には、性質の異なる2つの手続きが含まれます。1つは国土交通省への飛行許可・承認申請、もう1つは土地や施設の所有者・管理者から得る撮影・使用許可です。
飛行許可・承認は航空法上の手続きで、飛行の内容によっては不要な場合もあります。外注する場合、この作業は撮影会社の業務範囲に含まれることが多く、基本料金に組み込まれているか別建てかは会社によって異なります。
一方、土地・施設側の撮影許可は、対象や運用によって費用の有無も金額も大きく変わります。無償で許可が下りる場所もあれば、使用料が発生する場所もあります。撮影会社に許可申請の代行まで含めて依頼する場合に4万〜5万円程度を提示する例もありますが、一律の相場として当て込まないほうが安全です。
いずれにせよ、どちらの手続きがどこまで基本料金に含まれているのかは、見積書で必ず確認してください。
飛行できる場所や規制の考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
保険料
撮影中の事故に備えた保険の費用です。基本料金に含まれている会社もあれば、別途請求される会社もあります。
確認すべきは、金額よりも補償の中身です。第三者への賠償責任がカバーされているか、補償額はいくらか、免責金額はいくらかという3点は、万一の際に発注者側の責任範囲を左右します。特に人や建物が近い現場では、補償額の水準を必ず確認しておきましょう。
編集費
撮影したデータを映像作品として仕上げるための費用です。基本料金には含まれないことが多く、5万〜15万円程度が相場とされています。カラーグレーディング、不要部分のカット、BGMやテロップの追加、ナレーションの収録などが含まれます。
一方で、空撮に特化していて編集には対応していない会社もあります。編集まで一括で任せたいのか、素材データだけ受け取って社内や別の制作会社で仕上げるのかを先に決めておくと、依頼先の選定がスムーズになります。
見積書のチェックポイントと見落としやすい追加費用
同じ条件で相見積もりを取ったつもりでも、総額が大きくずれることがあります。その原因の多くは、金額そのものではなく前提条件の違いにあります。
天候順延と予備日の扱い
ドローンは風雨に弱く、当日の天候によって飛ばせないことがあります。このとき、順延にかかる費用を誰が負担するのかが会社によって異なります。
・予備日を1日まで無償で確保する
・順延1回につき出張費相当を再請求する
・キャンセル料が発生する時点を撮影日の何日前と定めている
こうした条件は見積書の備考欄に小さく書かれていることが多く、見落としがちです。屋外撮影である以上、順延は例外ではなく想定内の事象として扱い、契約前に条件を確認しておくべきです。
再撮影・追加フライトの費用
撮影当日に「もう1カット押さえたい」となった場合、追加フライト分の費用が加算されるのが一般的です。バッテリー1本あたりで加算する料金体系を採っている会社もあります。
また、納品された映像を確認した後で構図を変えたいとなった場合、原則として再撮影は別案件扱いになります。撮影前に絵コンテやカット割りを共有しておくことが、結果として最も確実なコスト管理になります。
データ納品と二次利用の範囲
納品形式と利用範囲も費用に影響します。編集前の素材データをすべて受け取れるのか、採用カットのみなのかで、後から社内で二次利用できる幅が変わります。
・素材データの納品可否と納品方法
・映像の利用範囲(自社サイトのみか、広告出稿にも使えるか)
・利用期間の定めがあるか
・著作権および使用許諾の条件
広告に転用する段階で追加のライセンス料が発生するケースもあるため、用途が複数ある場合は最初にすべて伝えておきましょう。
相見積もりで比較するときの3つの視点
複数社を比較する際は、次の3点をそろえて初めて意味のある比較になります。
1つ目は、時間の数え方です。飛行時間なのか現地拘束時間なのか、半日の定義は3時間なのか4時間なのかを揃えます。2つ目は、含まれる作業範囲です。申請費、保険料、編集費、交通費のうち、どれが基本料金に含まれているかは会社ごとに違います。3つ目は、納品物の仕様です。解像度、カット数、尺、納品形式を統一しないと、安く見える見積もりが実際には不足していたということが起こります。
この3点をまとめた発注条件書を1枚作り、各社に同じ内容で見積もりを依頼するのが、もっとも確実な進め方です。
自社で内製する場合にかかる費用
撮影の頻度が高い場合、自社で機体を持って内製するという選択肢もあります。ただし、初期費用は機体価格だけでは終わりません。
機体の購入費用
2026年8月時点で、DJIの正規代理店が掲載している主なカメラドローンの販売価格には、次のような例があります。いずれも販売店の掲載価格をもとにした目安で、送信機やセット構成によって変わります。
・DJI Mini 2 SE:44,000円
・DJI Mini 5 Pro:106,700円
・DJI Air 3S:150,480円
・DJI Mavic 4 Pro:277,200円
・DJI Inspire 3:1,769,900円
予備バッテリーや充電ハブを同梱した上位セットを選ぶと、機種によって2万〜8万円程度高くなります。なお、かつて入門機として広く使われていたMavic Air 2やPhantom 4 Pro V2.0はすでに販売が終了しています。数年前の記事や比較表を参考に予算を組むと、実際の価格と噛み合わないため注意してください。
周辺機材・アクセサリー
機体単体で運用を始められるケースは実務上ほとんどありません。予備バッテリー、充電器、送信機、記録メディア、運搬用ケースといった周辺機材が必要になります。
多くのメーカーが機体本体に予備バッテリーや充電ハブを同梱した上位セットを用意しており、単体購入より割安に揃えられます。業務で使うのであれば、バッテリー切れで撮影が中断しないよう、最初から複数本を確保できるセットを選ぶのが現実的です。
機体登録とリモートIDの費用
2022年6月20日以降、機体重量100g以上の無人航空機は国土交通省への登録が義務づけられています。登録されていない機体を飛行させることはできません。
登録手数料は本人確認の方法によって変わり、オンライン申請でマイナンバーカードを使う場合の1機目900円が最安です。運転免許証やパスポートを使う場合、あるいは書面で申請する場合は手数料が上がります。
さらに、登録記号の機体への表示に加えて、原則としてリモートID機能の搭載が必要です。機体に内蔵されていない場合は外付け機器の購入費が別途かかります。ただし搭載には免除条件があり、事前登録期間中に登録手続きを完了した機体、補助者の配置や区域の範囲の明示といった安全確保措置を講じたうえでの飛行、十分な強度を持つ紐などで係留して行う飛行が該当します。また、機体登録の有効期間は3年で、期間満了後は更新手続きが必要になる点も、ランニングコストとして見込んでおきましょう。
国家資格の取得費用
まず押さえておきたいのは、無人航空機操縦者技能証明という国家資格は、すべての飛行で必須というわけではないという点です。国土交通省も、技能証明の取得は無人航空機の飛行において必須事項ではないと明示しており、諸条件を満たす特定飛行を行う場合に必要になる、という位置づけです。
一方で、資格があると手続きは軽くなります。DID上空、夜間、目視外、人や物件から30メートル未満といった特定飛行のうち総重量25キログラム未満のものは、立入管理措置を講じたうえで、技能証明を受けた者が機体認証を受けた機体を飛行させ、飛行マニュアルの作成などの安全確保措置を講じることで、飛行許可・承認申請を不要にできます。撮影の頻度が高い事業者ほど、この事務負担の軽減が効いてきます。なお、夜間飛行や目視外飛行を許可・承認なしで行う場合は、技能証明の限定変更が必要です。
資格は一等無人航空機操縦士と二等無人航空機操縦士に区分され、有効期間はいずれも3年です。登録講習機関の講習を受講すれば実地試験が免除されるため、多くの事業者はスクールを利用します。
講習費用は各登録講習機関がそれぞれ設定しており、全国共通の資格取得費用というものはありません。ある登録講習機関が公表している料金例では、二等が24.8万円から、一等が二等の2〜3倍にあたる69.8万円からという水準です。これはあくまで一例で、初学者か経験者か、限定変更を含むかによっても変わります。
講習費用のほかに、指定試験機関の学科試験受験料が二等8,800円、一等9,900円かかります。さらに技能証明書の交付申請手数料が必要で、一等の場合はこれに加えて登録免許税3,000円が発生します。総額を見積もる際は、講習費だけでなくこれらの実費も足し込んでください。
制度の詳細や取得の流れは、以下の記事でまとめています。
スクール選びについては、次の記事も参考になります。
保険料
業務でドローンを運用する場合、第三者への賠償に備える保険は必須と考えるべきです。機体と賠償をセットにした保険では、機体の保険金額10万円、対人・対物賠償1億円、免責0円という条件で年間12,700円からという水準が公表されています。
保険料は機体の保険金額や賠償の補償額によって変動するため、実際の運用規模に合わせた見積もりが必要です。なお、メーカーが提供する機体交換サービスは保証の延長であって賠償責任をカバーするものではないため、賠償責任保険とは別物として扱ってください。
飛行許可・承認申請の費用
飛行の内容によっては、国土交通省の許可・承認が必要になります。自社で申請すれば実費のみで済みますが、書類の作成に相応の工数がかかります。
行政書士に代行を依頼する場合、飛行範囲を日本全国、期間を1年間とする包括申請で、基本料金が税別2万〜3万円前後という設定が多く見られます。3万〜5万円を目安とする情報もあり、事務所によって基本料金に含まれる範囲が異なる点に注意が必要です。機体台数や操縦者の人数によって追加料金が発生する設定もあるため、見積もり時に条件を明示しましょう。
外注と内製、どちらが得かを判断する目安
内製に踏み切るかどうかは、単純な費用比較では判断できません。初年度に必要な支出を積み上げてから考えるのが確実です。
機体、周辺機材、資格取得、保険、機体登録、申請代行までを合わせると、業務用途で立ち上げる場合の初期費用は数十万円から100万円規模まで幅があります。一方、外注は1回あたり5万〜20万円程度が中心帯です。
初期費用も外注単価も条件によって数倍変わるため、損益分岐点を一律の回数で示すことはできません。自社の条件を仮置きして試算するのが確実です。たとえば初期費用を60万円、外注1回あたりを10万円と仮定すれば、単純計算では年6回を超えたあたりから内製が有利に見えてきます。一方、初期費用が100万円で外注が1回5万円なら、同じ計算でも20回まで跳ね上がります。
さらに、この試算には人件費が乗ります。
内製の場合、機体を飛ばすのは自社の従業員です。事前の飛行計画作成、当日の運用、飛行日誌の記録、機材のメンテナンス、資格の更新といった業務が発生し、これらは撮影頻度が低くても継続的に発生します。逆に言えば、撮影が定常業務として組み込まれている場合には、内製化によって外注では得られない機動力が手に入ります。
判断の軸としては、次のように整理できます。
・年数回の広報用途にとどまる場合:外注が合理的
・毎月のように現場記録や進捗確認で飛ばす場合:内製の検討価値が高い
・撮影の品質が売上に直結する用途(広告・映画等):頻度にかかわらず外注を基本とし、内製は補助的に使う
なお、内製化にあたっては補助金や助成金を活用できる場合があります。対象経費や上限額については以下の記事にまとめています。
ドローン撮影の費用を抑える5つの方法
品質を落とさずにコストを下げるには、発注の仕方を工夫するのが近道です。
1つ目は、撮影内容を事前に固めることです。何をどう撮るかが曖昧なまま現場に入ると、追加フライトや再撮影で費用が膨らみます。絵コンテやカット表を用意し、撮影会社と共有しておきましょう。
2つ目は、撮影を1回にまとめることです。複数の拠点や用途がある場合、案件を分けて発注すると、そのたびに交通費と基本料金が発生します。可能な範囲で日程と場所をまとめれば、1回分の固定費で済みます。
3つ目は、編集の範囲を切り分けることです。素材データを受け取って社内で簡易編集する体制があれば、編集費を削減できます。
4つ目は、規制の厳しい場所を避けられないか検討することです。人口集中地区や催し場所の上空など、申請と安全対策が重くなる条件では費用が上がります。近隣の代替ロケーションで目的を達成できないか、企画段階で検討する価値があります。
5つ目は、補助金・助成金の活用です。内製化のための機材導入や人材育成が対象になる制度があります。申請には期間や要件があるため、機材を購入する前に確認しておくことが重要です。
費用に影響する2026年時点の法規制
ドローンの費用構造は法規制と直結しています。制度を把握しておくと、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。
100g以上の機体登録とリモートID
2022年6月20日の機体登録制度の義務化以降、100g以上の無人航空機は登録が必要になり、登録記号の表示と、原則としてリモートID機能の搭載が求められています。一定の条件を満たす飛行には搭載免除があります。登録の有効期間は3年で、更新を忘れると飛行できなくなります。
内製する場合はこれらが自社のコストになり、外注する場合は撮影会社側のコストとして基本料金に織り込まれています。極端に安い見積もりを見たときは、こうした基礎的なコストが本当に含まれているのかを確認する視点を持っておくとよいでしょう。
飛行カテゴリーと必要な手続き
飛行はリスクに応じてカテゴリーⅠ・Ⅱ・Ⅲに分類され、該当するカテゴリーによって必要な手続きが変わります。カテゴリーⅡはさらに区分され、空港周辺、高度150メートル以上、催し場所上空、危険物の輸送や物件投下、最大離陸重量25キログラム以上の飛行が特にリスクの高いカテゴリーⅡAとされています。
2023年12月には、無人地帯で補助者を配置せずに目視外飛行を行うレベル3.5が新設されました。機上カメラの活用、技能証明の保有、保険への加入を条件に、従来必要だった立入管理措置を代替できる仕組みです。ただし立入管理措置そのものが不要になるわけではなく、第三者の上空を飛べるようになる制度でもありません。
立入管理措置を講じずに第三者の上空を飛行させるレベル4は、最上位のカテゴリーⅢに位置づけられ、一等無人航空機操縦士の技能証明と第一種機体認証を備えたうえで国土交通大臣の許可を受けた場合に限られます。逆に言えば、市街地上空や目視外というだけで一等が必要になるわけではなく、立入管理措置を講じたカテゴリーⅡとして実施できる場合があります。自社の撮影がどのカテゴリーに該当するかは要件の重さと費用に直結するため、企画段階で確認しておくと見通しが立てやすくなります。
国内でのレベル3.5飛行の実例については、以下の記事で紹介しています。
飛行計画の通報と飛行日誌
特定飛行を行う場合には、事前に飛行の日時や経路などを記載した飛行計画を国土交通大臣に通報する必要があります。通報せずに特定飛行を行った場合、30万円以下の罰金が科される可能性があります。あわせて、特定飛行を行う際は飛行日誌の作成も求められます。
すべての飛行に毎回課される義務ではありませんが、業務での空撮は特定飛行に該当するケースが少なくありません。1回あたりの負担は小さくとも、運用者側に継続的な事務作業を生みます。内製化を検討する際は、機材費や資格費用だけでなく、この運用工数も見込んでおく必要があります。
規制の全体像については、以下の記事もあわせてご覧ください。
業種別に見る費用感と発注のポイント
同じドローン撮影でも、業種によって求められる品質と、そこにかかる費用の重心は異なります。
映像・広告分野では、映像そのものが成果物になるため、機材のグレードと編集の比重が高くなります。従来ヘリコプターやクレーンを使っていた撮影を置き換えられる分、絶対額は高くても費用対効果は高い領域です。
不動産分野では、物件の外観や周辺環境を伝える静止画中心の撮影が多く、比較的低い予算で成立します。複数物件をまとめて1日で回れるよう日程を組むと単価を抑えられます。
建設・インフラ点検分野では、映像の美しさより記録の正確さが求められ、定期的な撮影が前提になるため、内製化の検討価値がもっとも高い領域です。
観光分野では、季節や時間帯によって最適な撮影タイミングが限られるため、天候順延の条件設計が費用管理の要になります。
農業分野では、撮影よりも生育状況の把握や農薬散布といった作業用途が主になり、映像制作とは費用構造が異なります。詳しくは以下の記事で解説しています。
業界横断での活用状況は、次の記事にまとめています。
ドローン撮影の費用に関するよくある質問
Q. 一番安く済ませる方法は何ですか。
静止画のみ、短時間、編集なし、近距離という条件を組み合わせるのが最安の構成です。ただし、用途を満たせるかどうかを先に検討してください。安く撮れても使えなければ費用はすべて無駄になります。
Q. 見積もりに保険料の記載がありません。加入していないのでしょうか。
基本料金に含めている会社も多いため、記載がないことが即座に未加入を意味するわけではありません。ただし業務で発注する以上、補償の有無と補償額は書面で確認しておくべきです。
Q. 撮影当日が雨だった場合の費用はどうなりますか。
会社ごとに扱いが異なります。予備日を無償で確保する会社、順延のたびに出張費相当を請求する会社などがあるため、契約前に必ず条件を確認してください。
Q. 自社で飛ばせば無料で撮影できますか。
機体の購入費に加えて、機体登録、資格取得、保険、飛行申請、そして運用にかかる人件費が発生します。撮影頻度が低い場合は外注のほうが総額を抑えられるケースが多くなります。
Q. 国家資格がなければドローンで撮影できませんか。
国土交通省は、技能証明の取得は無人航空機の飛行において必須事項ではないとしています。飛行の内容によっては、許可・承認を受けることで資格がなくても飛行できます。ただし特定飛行を継続的に行うのであれば、許可・承認申請を省略できることによる事務負担の軽減という実利があるため、取得を検討する価値は十分にあります。
まとめ
ドローン撮影の費用は、静止画中心の簡易な撮影であれば3万〜5万円、動画と編集を含めれば5万〜10万円、本格的なプロモーション映像であれば15万〜30万円以上が2026年時点の目安です。
金額の妥当性を判断する鍵は、見積書の内訳を読み解くことにあります。基本撮影料、機材費、人件費、交通費、ロケハン費、申請費、保険料、編集費のどこまでが含まれているかを揃えて比較しなければ、安く見える見積もりを選んで結果的に高くつきかねません。
内製を検討する場合は、機体価格だけでなく、機体登録、リモートID、資格取得、保険、飛行申請、そして継続的な運用工数まで含めて試算してください。年数回の利用であれば外注、定常業務として組み込まれているなら内製という判断軸を持っておくと、意思決定がぶれにくくなります。