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DeepSeek-V4.1-Flash-1017って何?ClaudeOpusに匹敵する高性能AIの実力とは

DeepSeek-V4.1-Flash-1017って何?ClaudeOpusに匹敵する高性能AIの実力とは

目次

DeepSeek-V4.1-Flash-1017とは

DeepSeek-V4.1-Flash-1017は、中国のAI企業DeepSeek(深度求索)が2026年10月17日に公開した大規模言語モデルです。9月10日に公開されたDeepSeek-V4.1-Flashの更新版で、推論・コーディング・AIエージェント・画像理解のベンチマークがすべての項目で伸び、出力も短くなりました。

APIの料金と呼び出し方(モデル名 deepseek-flash)は9月版から変わっていません。そのため、DeepSeekの公式APIを使っている企業では、設定を何も変えなくても10月17日から中身が1017版に切り替わっています。既存の利用者にとって一番大きな変化は、性能の向上よりも「知らないうちにモデルが入れ替わった」ことです。出力の長さや書式が以前と同じとは限らないため、本番で使っている処理は早めに確認してください。

なお、「Claude Opus 5超え」は一部の項目に限った話です。1017版が上回るのはコーディングエージェントや業務自動化などのエージェント型の作業で、専門知識を問う難問や画像理解ではOpus 5のほうが高い値です。

9月公開のV4.1 Flashの更新版という位置づけ

DeepSeekのV4シリーズは、2026年4月24日にV4-ProとV4-Flashのプレビュー版として始まりました。その後、7〜8月に正式版が出そろい、9月10日には新しい構造を採用したV4.1 Flashが公開されています。このとき旧V4 Flashは提供を終えました。1017版は、このV4.1 Flashを改良した版です。

時期主な出来事
2026年4月24日V4-Pro・V4-Flash(プレビュー版)を公開
2026年7月31日V4-Flashの正式版(0731)をAPIで公開
2026年8月13日V4-Proの正式版(0813)をAPI・Web・アプリで公開。ピーク/オフピーク料金の導入を発表(8月16日から適用)
2026年9月10日V4.1 Flashを公開。画像の読み取りに標準対応し、旧V4 Flashは退役
2026年10月17日V4.1-Flash-1017を公開。同時に検索API(Search/Fetch)を一般公開

現在、公式APIで選べるモデルは、1017版を呼び出す deepseek-flash と、V4-Pro-0813を呼び出す deepseek-v4-pro の2つです。

Web・アプリ・API・オープンウェイトで同日から提供

1017版は公開当日から、DeepSeekのWeb版・スマホアプリ・APIのすべてで使われています。モデルの重み(学習済みのパラメータ)も、Hugging FaceとModelScopeでMITライセンスのもと公開されました。MITライセンスは商用利用・改変・再配布を認める制約の軽いライセンスで、社内サーバーで動かすこともできます。

項目内容
公開日2026年10月17日
公式APIのモデル名deepseek-flash(9月版から変更なし)
提供形態Web版、スマホアプリ、API、オープンウェイト(Hugging Face/ModelScope)
コンテキスト長100万トークン(1回のやり取りで読み込める文章量の上限)
最大出力(公式API)38万4,000トークン
画像入力対応(画像の読み取りのみ。画像の生成はできない)
推論モード思考あり(既定)と思考なしを切り替え可能
ライセンスMIT
パラメータ規模Hugging Face上の表示で約7,630億。推論時に動く数はモデルカードに記載なし
同時リクエスト上限(公式API)2,500

9月版から何が変わったのか

1017版で変わったのは、性能・処理の速さ・出力の長さの3点です。性能を上げると出力が長くなり費用もかさむのが普通ですが、1017版は性能を上げながら出力を短くしており、同じ作業をより安く速く終えられるモデルになりました。

ベンチマークの新旧比較(公式発表値)

9月版と並べると、11項目すべてで1017版が上回ります(数値は公式のChange LogとHugging Faceのモデルカードの掲載値)。

ベンチマーク何を測るか9月版1017版
HLE(ツールなし)専門家レベルの知識・推論問題36.842.6
Terminal-Bench 4.0ターミナル(コマンド)操作の課題31.242.3
DeepSWE v1.1AIエージェントによるソフトウェア修正74.277.0
ProgramBenchプログラム作成20.329.1
NL2Repo-Bench文章の指示からリポジトリ一式を作る65.468.2
Automation-Bench v1.0.6業務の自動化タスク54.860.5
Agents’ Last ExamAIエージェントの総合課題31.835.4
Apex Bench v1.1高難度の実務課題64.672.1
Chartography(ツールあり)グラフ・図表の読み取り78.983.0
BabyVision(ツールあり)画像理解89.692.5
ZeroBench-main(ツールあり)難度の高い画像理解49.051.0

伸びが大きいのは、Terminal-Bench 4.0(31.2→42.3)、ProgramBench(20.3→29.1)、Apex Bench(64.6→72.1)です。コマンド操作やプログラム作成など、AIに作業を任せる使い方ほど改善が大きく、今回の更新の狙いがエージェント用途にあることがはっきり表れています。一方、画像理解の項目は2〜3ポイントの伸びにとどまります。

計測は、Terminal-Bench 4.0がClaude Code、DeepSWEがMini-SWE-V2という実行環境で行われています。同じモデルでも実行環境が変わればスコアは変わるので、この数値をそのまま各社の業務に当てはめることはできません。

出力が短くなり、タスクあたりのコストが下がった

1017版は、タスクにかかる時間と出力の長さを9月版より減らしています。APIの料金は出力したトークン数(文字数の単位)に応じてかかるため、単価が据え置きでも、出力が短くなった分だけ請求額は下がります。料金表に表れない、実質的な値下げです。

どれだけ安くなるかは処理の内容によって変わります。10月17日の前後で、同じ処理の出力トークン数と日々の請求額を比べれば、実際の効果を数字でつかめます。

AIエージェント・開発ツール向けの最適化

1017版は、DeepSeekが提供するAIエージェントの実行ツール「DeepSeek Harness」や、Tencentの開発支援ツール「CodeBuddy」「WorkBuddy」などに合わせて調整されています。DeepSeek Harnessで使う場合は、バージョン0.2.1-rc.1以降に更新してください。

1017版は、自分の出力を評価しながら学習する強化学習によって、ゲーム制作から3Dモデリングまで、プロジェクトを最初から最後まで仕上げる力を高めています。1回の質問に答えるチャット用途よりも、複数の手順をまとめて任せるエージェント用途で真価を発揮するモデルです。AIエージェントに作業を任せる際の権限設計やリスクについては、次の記事で解説しています。

AIエージェントのセキュリティリスクとは?生成AIとの違いと企業が取るべき対策

同時に公開された検索API(Search/Fetch)

10月17日には、モデルの更新と同時に、DeepSeek自前の検索エンジンを使った検索API(Search API・Fetch API)が一般公開されました。これまでDeepSeekのWeb版やAPIの検索機能の裏側で使われていた仕組みを、単体のAPIとして使えるようにしたものです。

Search APIとFetch APIでできること

Search APIはWeb検索の結果を返し、Fetch APIは指定したWebページの内容を取得します。AIエージェントに最新の情報を調べさせたり、特定のページを読ませたりする用途を想定しています。

この検索エンジンの特徴は次の3点です。

・数千億件のWebページを索引し、多言語の検索に対応する

・世界中から1日に数億件の検索リクエストを処理している

・SEOスパム、GEO(AIの回答に特定の情報を載せるための不正な操作)、質の低いAI生成コンテンツを検出して除外する

Webサイトを運営する企業にとっては、AIが参照する検索の入口がひとつ増えたことを意味します。除外の具体的な基準は公開されていないため、小手先の対策よりも、読者に役立つ一次情報を積み上げることが、ここでも評価される近道です。

料金と、日本時間11月1日1時からの課金開始

検索APIは、モデルの利用料とは別に、成功したリクエストの回数で課金されます。

API単位料金
Search API成功したリクエスト1,000回あたり0.75ドル
Fetch API成功したリクエスト1,000回あたり0.75ドル

注意したいのは、DeepSeek Harness・Claude Code・Codexから公式APIを使っている場合です。これらのツールでは、AIが自動で行う検索やページ取得がこの検索APIを経由しており、現在は無料になっています。しかし、北京時間2026年11月1日0時(日本時間では同日1時)から1回ごとの課金が始まります。

たとえば1日に1万回の検索が自動で行われていれば、それだけで1日7.5ドルかかる計算です。これらのツールでDeepSeekを使っている場合は、11月1日までに、検索がどのくらい呼ばれているかを確認しておくと安心です。

料金とモデルIDは9月版から変わっていない

1017版の公開にあたって、APIの料金と呼び出し方は変更されていません。公式APIは使った分だけ支払う従量課金で、入力したトークン数と出力したトークン数に応じて料金がかかります。

現在の料金表と、日本時間のピーク時間帯

公式APIの料金は、混み合う時間帯(ピーク)とそれ以外(オフピーク)で分かれており、オフピークはピークのちょうど半額です。単位は100万トークンあたりの米ドルです(2026年10月22日時点)。

モデル名時間帯入力(キャッシュヒット)入力(キャッシュミス)出力
deepseek-flash(1017版)オフピーク0.003ドル0.15ドル0.60ドル
deepseek-flash(1017版)ピーク0.006ドル0.30ドル1.20ドル
deepseek-v4-pro(V4-Pro-0813)オフピーク0.022ドル0.66ドル1.98ドル
deepseek-v4-pro(V4-Pro-0813)ピーク0.044ドル1.32ドル3.96ドル

キャッシュヒットは、以前に送った入力と同じ部分(共通の前置き文など)を再び送ったときに適用される安い単価です。毎回同じ指示文を付けて処理する場合ほど、入力の費用を抑えられます。

ピーク時間帯は、月〜金曜日のUTC 1:00〜4:00と6:00〜10:00です。日本時間に直すと、平日の10:00〜13:00と15:00〜19:00にあたり、日本の業務時間とほぼ重なります。中国の祝日は終日オフピークですが、日本の祝日は対象外です。

入力1,000万トークン(キャッシュミス)と出力100万トークンを処理した場合の概算は、次のとおりです。

モデル名オフピークピーク
deepseek-flash(1017版)2.10ドル4.20ドル
deepseek-v4-pro8.58ドル17.16ドル

日中に対話的に使うと、多くのリクエストがピーク料金になります。要約・分類・データ整形などのまとめて流す処理は、日本時間の19時以降や早朝、土日に回すと単価を半分にできます。

旧モデルIDで呼んでも1017版が応答する

旧V4 Flash時代のモデル名は今も受け付けられますが、応答するのは1017版で、料金もFlashの単価で請求されます。指定するモデル名と、実際に応答するモデルの対応は次のとおりです。

指定するモデル名実際に応答するモデル請求される料金
deepseek-flashV4.1-Flash-1017Flashの料金
deepseek-v4-flash(旧名)V4.1-Flash-1017Flashの料金
deepseek-v4-flash-vision-exp(旧名)V4.1-Flash-1017Flashの料金
deepseek-v4-proV4-Pro-0813Proの料金

旧名で呼んでもエラーにはなりませんが、名前と中身が一致していない状態です。コードや設定ファイルに旧名が残っている場合は、deepseek-flash に書き換えておくと、どのモデルを使っているかを社内で説明しやすくなります。なお、さらに古い deepseek-chat と deepseek-reasoner は2026年7月24日の廃止が予告されており、現在の料金ページには載っていません。

画像を読ませる処理に使えるのは deepseek-flash だけで、deepseek-v4-pro は画像入力に対応していません。同時に送れるリクエスト数の上限も、deepseek-flash が2,500、deepseek-v4-pro が500と差があります。

他社モデルとの比較をどう読むか

国内では「コード系でOpus 5超え」という見出しで報じられましたが、この表現は半分だけ正しいといえます。Hugging Faceのモデルカードに載っている他社モデルとの比較から、主な項目を抜き出すと次のとおりです。

ベンチマーク1017版Claude Opus 5GPT-5.6 SolKimi K3
DeepSWE v1.177.074.073.067.5
Automation-Bench v1.0.660.550.345.846.7
Agents’ Last Exam35.428.626.727.6
Apex Bench v1.172.165.854.347.8
HLE(ツールなし)42.656.344.543.5
Terminal-Bench 4.042.351.839.912.6
ProgramBench29.137.023.017.5
NL2Repo-Bench68.275.356.858.0
BabyVision(ツールあり)92.594.188.985.7

1017版が首位なのは、AIエージェントによるソフトウェア修正(DeepSWE)、業務自動化(Automation-Bench)、エージェントの総合課題(Agents’ Last Exam、Apex Bench)の4項目です。一方、専門知識を問うHLE、ターミナル操作のTerminal-Bench 4.0、プログラム作成のProgramBench、リポジトリ生成のNL2Repo、画像理解のBabyVisionでは、Claude Opus 5のほうが高い値です。1017版は「AIに作業を任せる用途では最上位級、知識の深さや画像理解ではOpus 5が上」と整理するのが実態に近い見方です。

また、表の数値はすべてDeepSeek自身が計測した値で、第三者の検証は済んでいません。導入を判断するときは、社内で実際に使う代表的な作業をいくつか用意し、候補のモデルで結果と費用を並べて比べてください。料金は1017版のほうが大幅に安いため、「Opus 5ほどの精度が要らない作業を1017版に任せる」という使い分けも現実的な選択肢です。比較対象のClaude Opus 5については、次の記事で詳しく解説しています。

Claude Opus 5とは?性能・料金・他モデルとの違いをわかりやすく解説

業務で使う前に確認したい注意点

1017版は性能と費用の両面で魅力のあるモデルですが、業務で使う場合は、モデルの入れ替わり方とデータの扱いの2点を確認しておく必要があります。

何もしなくても中身が1017版に切り替わっている

公式APIでは、10月17日から deepseek-flash の中身が1017版に置き換わりました。公式APIのFlash系のモデル名は deepseek-flash だけで、9月版を指定して使い続ける方法はありません。利用者が気づかないうちに、出力の長さや書式、AIが道具を使う順番などが変わっていてもおかしくない状態です。

本番の処理でDeepSeekを使っている場合は、次の順で確認すると安全です。

・代表的な入力と期待する出力をセットにした確認用のテストを用意し、1017版で結果が変わっていないかを見る

・10月17日の前後で、同じ処理の出力トークン数と日々の請求額を比べる

・公式のChange Logを定期的に確認し、次の更新に備える

・モデルのバージョンを確実に固定したい場合は、公開された重みを社内環境で動かすことを検討する

公式API・アプリのデータは中国のサーバーに保存される

公式のWeb版・アプリ・APIに入力したデータは、中国のサーバーに保存され、中国の法令が適用されます。個人情報保護委員会も2025年2月3日(同年3月5日更新)に、この点を利用者向けに公表しています。

また、デジタル社会推進会議幹事会事務局は2025年2月6日、政府機関に対して、DeepSeekなどの生成AIを業務に使う場合はこうしたリスクを踏まえ、機密情報を扱わないこと、利用前にNISC(内閣サイバーセキュリティセンター)とデジタル庁に相談することを求める注意喚起を出しました。

政府機関向けの通知ですが、民間企業も同じ考え方で備えるべきです。公式のWeb版・アプリ・APIに入力してよい情報の範囲は、使い始める前に決めておきましょう。顧客情報や社外秘の資料は入力しない、使ってよい業務を限定する、といったルールを先に整えましょう。生成AI全般の情報漏えいリスクと対策は、次の記事でも解説しています。

悪用や漏洩の温床?ChatGPTの危険性とは。注意すべきリスクとその対策について解説

オープンウェイトを社内環境で動かす選択肢

1017版はMITライセンスで重みが公開されているため、DeepSeekの公式APIを使わずに、社内のサーバーや国内のクラウドで動かすこともできます。この方法なら入力データをDeepSeekのサーバーに送らずに済み、モデルのバージョンも固定できます。

実行ツールはvLLM、SGLang、Transformersに対応し、llama.cpp、Ollama、LM Studio向けの量子化版(軽量化した版)も用意されています。推奨設定はtemperature 1.0、top_p 1.0で、出力の上限(max_tokens)は25万6,000トークン以上を確保します。

ただし、パラメータ規模が大きいため、個人のPCで動かすのは現実的ではありません。手軽に試すなら、米国のサーバーで1017版を提供し、入力データを保存しない方針を掲げるOllamaやLM Studioのサービスも選択肢になります(GIGAZINE報道)。外部のサービスを使う場合は、各社のデータの保存期間や学習への利用の有無を契約前に確認してください。

また、組織によっては、データの保存先にかかわらず中国企業が開発したモデルの利用自体を制限している場合があります。社内環境で動かす場合でも、情報システム部門や取引先との契約上のルールを確認しておきましょう。

まとめ

DeepSeek-V4.1-Flash-1017は、料金を据え置いたまま中身を入れ替えた更新です。立場ごとに、次の対応から始めるとよいでしょう。

・すでに公式APIを使っている場合は、確認用のテストで出力を比べ、10月17日前後の出力トークン数と請求額を確認する

・DeepSeek Harness・Claude Code・CodexでDeepSeekを使っている場合は、検索APIの課金が始まる日本時間11月1日1時までに、検索の呼び出し回数を確認する

・これから導入を検討する場合は、入力してよい情報の範囲を先に決め、社内の代表的な作業で他のモデルと結果・費用を比べる

DeepSeekは数週間おきにモデルを更新しており、9月版から1017版までは37日でした。公式のChange Logを定期的に確認する運用も、あわせて整えておくことをおすすめします。

IoTBiz編集部

IoTBiz編集部

IoTBiz編集部は、京都の通信事業者・株式会社CoeNovaが運営するIoT・通信・AI専門メディアの編集チームです。CoeNovaは2015年から、訪日旅行者向けSIMや民泊向けWi-Fi、IoT向け回線などの通信サービスを自社で提供しています。その運用で得た知見をもとに、Wi-Fiの接続トラブル、SIM・モバイル回線、生成AIの業務活用まで、法人・個人の「困った」を解決する情報をお届けしています。

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