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エッジコンピューティングとは?わかりやすく活用事例を紹介

エッジコンピューティングとは?わかりやすく活用事例を紹介

2min

エッジコンピューティングについて詳しく知りたいですか?本記事では、エッジコンピューティングの意味や仕組み、メリットなどを徹底的に紹介します。

目次

エッジコンピューティングとは

エッジコンピューティングとは、簡単に言うと、スマートフォンやタブレットなどのIoTデバイスとその利用者の近くに設置された特別なサーバーを使って、データの処理や分析を行う技術のことです。

このコンピューティング処理は「エッジ処理」とも呼ばれ、インターネットに接続されたIoTデバイスからクラウドにデータを送信せずにリアルタイムに処理できます。

この技術では、IoTデバイスがインターネットに接続されているにも関わらず、データをクラウドに送らずに近くのサーバーで処理することができます。つまり、データをリアルタイムで処理できるため、通信の遅延が少なくなり、システムの負担も軽減されるんです。

エッジコンピューティングは、IoTの時代にとても重要な技術として注目されており、製造業や小売業、農業など様々な業界で活用されています。

エッジコンピューティングの仕組みと特徴

エッジコンピューティングを理解するには、従来のIoTシステム(クラウドコンピューティング。集中型アーキテクチャ)とエッジコンピューティング(分散型アーキテクチャ)を比較して見ると、理解がしやすいです。

コンピューティングには、分散型アーキテクチャを採用したものと集中型アーキテクチャを採用したものがありますが、従来のIoTシステム(クラウドコンピューティング)は、集中型のコンピューティングを採用していました。

エッジコンピューティングは、「分散型アーキテクチャ」を採用しており、IoTデバイスの近くにエッジサーバーを設置することで、上図のように、エッジサーバーでデータ処理を行い、必要なデータのみをクラウドに送信する仕組みになっています。

エッジコンピューティング 従来のIoTシステム
(クラウドコンピューティング)
アーキテクチャ 分散型アーキテクチャ 集中型アーキテクチャ
クラウドへのデータ送信 ・IoTデバイスで収集したすべてのデータから必要なデータのみをクラウドへ送信 ・IoTデバイスで収集したすべてのデータをクラウドへ送信
特徴 ・分散的なデータ分析、解析
・低遅延
・データ負荷を低減
・リアルタイム処理
・集中的なデータ分析、解析

エッジコンピューティングが注目される理由と背景

エッジコンピューティングへの注目の一番の要因は、IoT社会への期待の高まりが関連しています。

このIoT社会は、そもそも「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ネットワークにつながる「ユビキタスネットワーク社会」という構想は、2000年代前半から考えられていた概念です。日本では、2004年5月に総務省が公表した「u-Japan政策」を機にこの考え方が広まりました。

(参考)u-Japan政策|総務省

しかし、2000年代前半の頃は、まだIoTを構成する要素である「デバイス」「センサー」「ネットワーク」「クラウド」などが今よりも普及しておらず、当時の技術で「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ネットワークにつながる「ユビキタスネットワーク社会」を構築することは、難しかったのですが、近年、5GやLPWA、Wi-Fi6、AI、ビッグデータなど様々な要素技術の劇的な進展やDX(Digital Transformation / デジタルトランスフォーメーション)の後押しを受けたことで、IoT社会の実現可能性が高まりました。

そのことからIoTを支える技術の1つであるエッジコンピューティングにも注目が集まっているというのが理由です。

「DX」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?意味や定義、事例をわかりやすく簡単に解説!』

「IoT」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『IoTとは?Internet of Things(モノのインターネット)の意味や仕組みを事例を交えてわかりやすく簡単に解説!』

「M2M」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『M2M(Machine to Machine)とは?意味や仕組み、IoTとの違い、事例を簡単に紹介!』

「Wi-Fi 6」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『Wi-Fi 6とは?次世代Wi-Fi規格の特徴やメリット、対応ルーター・スマホ・PCを紹介!』

「5G」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『5Gとは?5G(第5世代移動通信システム)の特徴や仕組みをわかりやすく解説!』

エッジコンピューティングとクラウドコンピューティングの違い

エッジコンピューティングとクラウドコンピューティングの主な違いは、「エッジコンピューティングの仕組みと特徴」で前述したように、アーキテクチャ・データ送信・データ処理に違いがあります。

クラウドコンピューティングでは、集中型のアーキテクチャを採用し、データ処理を集中的に行い、データ送信に関しては、全データをクラウドへ送信します。
一方、エッジコンピューティングでは、分散型のアーキテクチャを採用し、データ処理を分散的に行い、データ送信に関しては、必要なデータのみをクラウドへ送信します。

クラウドコンピューティング:「集中型アーキテクチャ」「集中処理型」「全データをクラウド送信」
エッジコンピューティング:「分散型アーキテクチャ」「分散処理型」「必要なデータをクラウド送信」

「クラウドコンピューティング」について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
『クラウドコンピューティングとは?意味や仕組み、メリット、課題を徹底的に紹介!』

エッジコンピューティングの5つのメリット

IoTビジネスには、ここでは、エッジコンピューティングの主な5つのメリット「リアルタイム性」「セキュリティ」「通信コスト」「BCP」「GDPR」について詳しく紹介します。

1. リアルタイム性の強化

エッジコンピューティングの主要なメリットの1つは、「リアルタイム性の強化」です。

エッジコンピューティングの特徴として先に紹介した通り、この技術は通信の遅延時間(レイテンシ)を低く保つことが可能です。従来のIoTシステムでは、多数のIoTデバイスからデータを取得し、クラウドへのデータ送信に数ミリ秒の遅延が発生することがありました。しかしながら、遠隔医療や自動運転などのIoT活用分野では、わずかな遅延でも重大な問題を引き起こす可能性が高いのです。

そのため、エッジコンピューティングでは、IoTデバイス内でのデータ処理とクラウドへのデータ送信を分け、送信データ量を減らすことで通信の遅延時間(レイテンシ)を抑える設計が行われています。この技術により、IoTを活用したリアルタイムモニタリングやリアルタイムな活用が必要なシーンで大いに役立ちます。

さらに、将来的には5G技術との組み合わせにより、遅延時間(レイテンシ)を限りなくゼロに近づけることが期待されています。この進化により、エッジコンピューティングの重要性がますます注目を浴びています。

2. セキュリティの強化

エッジコンピューティングの2つ目のメリットは、「セキュリティの強化」です。

エッジコンピューティングは、分散型の設計を採用しているため、集中型のように収集したデータをすべてインターネット経由でクラウドに送信する必要はありません。代わりに、エッジサーバーで処理が必要なデータはエッジサーバーで処理し、クラウドへの送信が必要なデータのみを選択的に送信することができます。

さらに、IoTデバイスとエッジサーバー間の通信では、外部ネットワークを経由せずにクローズドなネットワークを使用してデータ処理が行われます。これにより、データ送信による情報漏洩のリスクを最小限に抑えることができます。

エッジコンピューティングの技術は、IoT社会において懸念されるセキュリティ問題の一部を解決することができるため、注目を集めています。

3. 通信コストの削減

エッジコンピューティングの3つ目のメリットは、「通信コストの削減」です。

エッジコンピューティングでは、エッジサーバーで高速かつ安全にデータ処理を行い、必要なデータのみをクラウドに送信する設計が採用されています。これにより、従来のIoTシステム(クラウドコンピューティング)と比べて、すべてのデータをクラウドに送信する必要がなくなります。その結果、クラウドとの通信データ量を削減し、通信コストを削減することが可能になりました。

エッジコンピューティングの技術は、IoTビジネスの現場で運用コストが大きな課題とされている中で、通信コストの削減という部分で注目を集めています。これにより、企業や組織は効率的なデータ処理と通信コストの削減を実現し、ビジネスの競争力を向上させることができます。

4. BCP(事業継続計画)の実現

エッジコンピューティングの4つ目のメリットは、「BCP(事業継続計画)の実現」です。

BCP(事業継続計画)は、テロ、災害、システム障害などの危機的状況下でも重要な業務を継続できるための計画です。これは経営の重要な指標の一つとされています。

従来のIoTシステム(クラウドコンピューティング)では、すべてのデータをクラウドに送信するため、クラウド側でシステム障害やハッキングなどの緊急事態が発生した場合、業務の継続が困難になる可能性があります。しかし、エッジコンピューティングでは、分散型のアーキテクチャを採用しているため、クラウド側で問題が発生しても、IoTデバイスやエッジサーバー側で業務を継続できます。

このように、エッジコンピューティングの技術は、BCPの観点からも重要視されています。緊急時においても重要な業務の継続性を確保することができるため、企業や組織は安心して事業を継続することができます。

5. GDPR(EU一般データ保護規則)の遵守

エッジコンピューティングの5つ目のメリットは、「GDPR(EU一般データ保護規則)の遵守」です。

GDPR(EU一般データ保護規則)は、EU域内の個人情報に関する法令であり、個人情報の保護とその取り扱いに厳しい規定が定められています。

従来のIoTシステムでは、データをクラウドに送信するため、特定の地域や国からデータを移動させないようにすることが難しい場合がありました。しかし、エッジコンピューティングでは、データをすべてクラウドに送信せず、データローカライゼーションを実現できるため、GDPRなどの各国や地域の法令に準拠したデータ処理が可能となります。

このエッジコンピューティングの技術は、個人情報に関する法律がますます厳格になると予測されるIoT社会において、適切なデータ保護と運用を実現する可能性を秘めており、注目を集めています。

エッジコンピューティングの市場規模

このように大きな注目を集めるエッジコンピューティングは、IoT市場の中のIoTインフラとして市場規模の計算をされています。

日本国内のIoT市場規模
日本国内のIoT全体では、IDC Japanの国内IoT(Internet of Things:モノのインターネット)市場を対象にした産業分野別調査『国内IoT市場 産業分野別予測、2021年~2025年』によると、2020年6兆3125億円の市場規模を突破し、また、今後2020年~2025年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)10.1%で成長し、2025年には、10兆1902億円に達する見込みと言われています。

2020年:6兆3125億円(予測)
2025年:10兆1902億円(予測)

(出典)国内IoT市場 産業分野別予測とユースケース別の事例考察を発表|IDC Japan

日本国内のIoTインフラ市場規模
IDC Japanの国内IoTインフラ市場を対象にした産業分野別調査『国内IoTインフラ市場予測、2021年~2025年』にて、日本国内のIoTインフラ市場を「IoTの3層モデル」として3つのレイヤーに分けて定義を行い、市場規模の算出をおこなっています。

※エッジコンピューティングに関しては、上記の図の中の「IoTエッジインフラストラクチャ(IoTエッジインフラ)」に該当します。

前述の調査によると、「IoTエッジインフラ」と「IoTコアインフラ」を合わせると、2021年に1,284億円(IoTエッジインフラ市場:501億円。IoTコアインフラ市場:783億円)の市場規模を突破し、2025年には、2,311億円(IoTエッジインフラ市場:1,061億円。IoTコアインフラ市場:1,250億円)の市場規模に達する予測が立てられています。

IoTインフラ市場規模(合計)
2021年:1,284億円(予測)
2025年:2,311億円(予測)

IoTエッジインフラ市場規模(内訳)
2021年:501億円(予測)
2025年:1,061億円(予測)

IoTコアインフラ市場規模(内訳)
2021年:783億円(予測)
2025年:1,250億円(予測)

(出典)国内IoTインフラ市場予測を発表|IDC Japan

エッジコンピューティングの2つの課題

ここでは、エッジコンピューティングの主な2つの課題を紹介します。

①IoTビジネスの環境構築コスト

エッジコンピューティングを用いてIoTビジネスの環境を構築する場合、クラウドコンピューティングと比較して構築コストが高くなってしまうのが1つの課題です。

エッジコンピューティングを用いた場合、IoTデバイスの近くに専用のエッジサーバーを設置する必要があるため、IoT活用をしている拠点数が増えれば増えるほど、それに伴いハードウェアの数が増えていきます。

②システムの複雑化

IoTビジネスの全般に該当することですが、特にエッジコンピューティングを用いる場合は、使用するハードウェアの数が増え、クラウドに送信するデータと送信しないデータを分けるため、クラウドコンピューティングと比べてシステムが複雑になりやすいというのが2つ目の課題です。
また、システムの初期だけではなく、運用のタイミングや変更のタイミングにも、複雑になったシステムの更新や変更が必要になるため、その分、慎重に運用やメンテナンスをする必要があります。

エッジコンピューティングの提供企業と活用事例

エッジコンピューティングを提供する主な企業4社とその活用事例を紹介します。

NVIDIA

NVIDIAは、エッジコンピューティングを用いた様々なソリューションを提供しています。また、エッジでAIを管理・拡張するためのプラットフォームである「AIライフサイクル管理(NVIDIA Fleet Command)」も提供しています。

提供サービス・製品
・エッジ・コンピューティング・ソリューション(Edge Computing Solutions)
・AIライフサイクル管理(NVIDIA Fleet Command)

実績(業界・領域)
・小売:スマートストアは小売業の未来です。Walmartのような業界をリードする小売店は、店舗内分析から倉庫運用にラストマイルデリバリまで、すべてを最適化すべく、エッジのAI導入に動いています。
・製造:エッジAIは、メーカーによる未来の工場実現に役立っています。BMWはエッジ AIを利用し、その組み立てラインを360度表示できるようにしました。また、安全性と効率性に優れた自動運転のパワーにしています。
・スマートシティ:オーストラリアのリバプールでは毎日の通勤者の数が爆発的に増えることを予想しており、インフラストラクチャに新しい課題を抱えようとしています。都市はビデオストリームから得たリアルタイムインサイトを利用し、交通の流れを予測し、意思決定能力を高めています。
・医療:病院や医療の選択肢を賢く、安全にし、患者ケアを向上するために、AIが役立っています。エッジコンピューティングを導入することで、AIが検査室、手術室のテーブル、患者の枕元に直接持ち込まれます。
・通信:5G、IoT (モノのインターネット)、エッジ コンピューティングがつながることで、ネットワークパフォーマンスがターボチャージされ、つながっている工場、小売店、病院、さらには街の通りのエッジに通信サービスが移されています。 
など

会社概要
NVIDIA Corporation
https://www.nvidia.com/ja-jp/

ニューラルポケット

ニューラルポケットは、最先端のオブジェクト認識AIや人物認識AIを活用し、エッジ端末への開発実装を得意としています。また、様々な業界に対しエッジコンピューティングソリューションを提供しています。

提供サービス・製品
・デジフロー
・デジパーク
・SIGN DIGI
・リモデスク
・AI MD

実績(業界・領域)
・人流、防犯
・駐車場、モビリティ
・サイネージ広告
・在宅勤務支援
・アパレル
など

会社概要
ニューラルポケット株式会社
https://www.neuralpocket.com/

Intel

インテルでは、エッジコンピューティングソリューションとして、ハードウェアの提供からソフトウェアの提供をしています。さらに、それらの提供実績をもとに、エコシステムも展開しています。

提供サービス・製品
▼ハードウェア
・インテル® Xeon® プロセッサー・ファミリー
・インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーおよび Intel Atom® プロセッサー・ファミリー
・IoT および組込み機器向けプロセッサー
・インテル® Movidius™ VPU
・インテル® FPGA
・ネットワークと接続性
・メモリーとストレージ

▼ソフトウェア
・OpenVINO™ ツールキットのインテル® ディストリビューション
・インテル® Smart Edge ソフトウェア・ポートフォリオ
・インテル® DevCloud for the Edge
・Open Visual Cloud
・インテル® Deep Insight Network Analytics Software

▼エコシステム
・インテル® IoT マーケット・レディー・ソリューション(インテル® IMRS)
・インテル® Select ソリューション
・インテル® パートナー・アライアンス

実績(業界・領域)
・動物公園:千葉市動物公園にてエッジ AI の実証実験を実施
など

会社概要
インテル株式会社
https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/homepage.html

日本IBM

日本IBMでは、主にエッジを用いたコンサルティングサービスとエッジ・ソリューション・プラットフォームの提供をしています。

提供サービス・製品
▼コンサルティングサービス
・オペレーション・コンサルティング
・クラウド戦略のコンサルティングとサービス
・エッジ・デバイス・コンサルティング
・ネットワークとデジタル変革のための通信ソリューション

▼エッジ・ソリューション・プラットフォーム
・IBM Edge Application Manager
・IBM Cloud Pak for Network Automation

実績(業界・領域)
・保険:ドライバーの運転特性をデータで把握し、自動車保険サービスを向上
・港湾局:さまざまな事象をデータで捉え、最適な船舶運航モデルをシミュレート
・製造業:タイヤ生産ラインの品質検証をエッジAIでリアルタイム化
など

会社概要
日本アイ・ビー・エム株式会社
https://www.ibm.com/jp-ja

IoTBiz編集部

IoTBiz編集部

2015年から通信・SIM・IoT関連の事業を手掛けるDXHUB株式会社のビジネスを加速させるIoTメディア「IoTBiz」編集部です。

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