固定電話が繋がらないときに最初に確認すること
固定電話が繋がらないときは、受話器を上げたときの音、契約している回線の種類、繋がらない範囲の3点を確認すると、原因が社内の機器にあるのか、回線にあるのか、相手側にあるのかを切り分けられます。
ただし、通信事業者側の障害や停電が原因の場合は、社内で配線を確かめたり機器を再起動したりしても復旧しません。障害情報の確認と、代わりの連絡手段の確保に切り替えてください。
受話器を上げたときの音
まず受話器を上げて、「ツー」という発信音が聞こえるかを確認します。発信音がしない場合は、電話機・ケーブル・電源・ONU(光回線の終端装置)など、自社側の設備に原因がある可能性が高くなります。
発信音はするのに相手に繋がらない場合は、ダイヤルした番号と相手側の状況を疑います。NTT東日本の解説では、「プープープー」という音は相手が通話中であることを知らせる話し中音で、相手の受話器が外れている場合にも鳴るとしています。着信拒否されている場合は、つなげない旨のアナウンスが流れます。
契約している回線の種類
固定電話には、銅線(メタル回線)を使う加入電話、デジタル回線のINSネット、光回線を使うひかり電話などがあり、回線によって確認する機器が変わります。
| 回線の種類 | 主に確認する機器 | 特徴 |
| 加入電話 | 電話機、電話線、壁のモジュラージャック | 電話局から銅線で電話機までつながる |
| INSネット | DSU、TA(ターミナルアダプタ)、電話機 | 回線と電話機の間に変換用の機器が入る |
| ひかり電話 | ONU、ひかり電話対応ルーター、電話機 | インターネットと同じ光回線と機器を使う |
回線の種類が分からない場合は、請求書や契約書、電話機の近くに置かれた機器の型番で確認できます。壁の差し込み口から電話機までの間にONUやルーターがあれば、ひかり電話など光回線を使う電話です。
繋がらない範囲
どこまで繋がらないのかを確認すると、原因の場所を絞り込めます。
・1台だけか、全台か:1台だけなら電話機本体とその配線、全台ならビジネスフォンの主装置(複数の電話機を制御する機器)や回線側を疑います
・発信と着信のどちらか:着信だけできない場合は、転送や着信拒否などの設定も確認の対象になります
・特定の相手だけか:特定の相手にだけ繋がらない場合は、相手側の状況が原因のことが多くなります
・インターネットも使えないか:ひかり電話で、インターネットも同時に使えない場合は、電話機よりも光回線やONUなどの通信設備、通信事業者側の障害を疑います
自社の電話が着信できるかは、スマートフォンから自社の番号に電話をかけると確かめられます。NTT東日本も、この方法で相手側の不具合かどうかを切り分ける手順を紹介しています。
症状別に考えられる原因
発信音がしない
発信音がしない場合は、電話機の電源アダプターや電話線が抜けている、ケーブルが断線している、電話機本体が故障しているといった原因が考えられます。コードレス電話機は、親機の電源が入っていないと子機からも発信できません。ひかり電話では、ONUやルーターの電源が切れている場合にも発信音がしなくなります。
ビジネスフォンで全台とも発信音がしない場合は、電話機を1台ずつ調べるのではなく、主装置の電源や故障を疑います。
話し中音やアナウンスが流れる
話し中音が続く場合は、相手が通話中か、相手の受話器が外れている可能性があります。不在着信に急いで折り返したところ、相手も同時にかけ直していて話し中になるケースもあります。
アナウンスが流れる場合は、その内容を書き留めてください。番号の誤り、着信拒否、相手側の回線の不具合など、アナウンスの内容が原因の手がかりになります。番号を確かめ直しても同じアナウンスが続くなら相手側の事情であることが多く、自社で対処できることはほとんどありません。メールなど別の手段で連絡を取ります。
着信だけができない
発信はできるのに着信しない場合は、回線よりも設定を疑います。転送サービスを設定したままになっている、電話機やビジネスフォンで着信拒否や非通知拒否を設定している、すぐに留守番電話に切り替わる設定になっている、といったケースが考えられます。
設定を見直したうえで、スマートフォンから自社の番号にかけても着信しない場合は、契約先に回線の状態を問い合わせます。
ひかり電話でインターネットも使えない
ひかり電話は、インターネットと同じ光回線、ONU、ルーターを使います。電話とインターネットが同時に使えない場合は、電話機単体の故障よりも、光回線・ONU・ルーターなどの通信設備や、通信事業者側の障害が疑われます。建物の電源トラブルで機器が止まっている場合もあります。
ONUやルーターには状態を示すランプがあります。NTT東日本の解説では、ONUの電源・光回線・認証・UNIの各ランプのうち、どれが消えているかによって、電気が来ていないのか、光ケーブルとの接続か、ルーターとの接続か、ONU自体の問題かの見当が付くとしています。ランプの名前や意味は機種によって異なるため、取扱説明書で確認してください。
インターネットは使えるのに電話だけが繋がらない場合は、ルーターのひかり電話ランプ、電話機をつないでいるポート、電話機本体の順に確認します。
自社で試せる対処法
対処法は上から順に1つずつ試し、そのつど電話が繋がるかを確認してください。複数をまとめて試すと、何が原因だったのか分からなくなり、再発したときにまた最初から確認し直すことになります。
電源とブレーカーを確認する
電話機、ONU、ルーター、主装置の電源ランプが点いているかを見ます。すべてのランプが消えている場合は、電源プラグの抜け、電源タップのスイッチ、分電盤のブレーカーを確認してください。
ケーブルの抜けと差し込み口を確認する
電話線やLANケーブルが奥まで差し込まれているかを、一度抜いて差し直して確認します。ひかり電話では、電話機の線がルーターの電話機用ポート(TELなどと表示)ではなく、LANポートに差さっているケースがあります。
NTT東日本は、ONUと電話機の間にハブ(LANケーブルを分岐する機器)を設置すると、ひかり電話が使えなくなる可能性があるとしています。最近機器を追加したり移設したりした場合は、その変更を元に戻して確かめます。
予備のケーブルがあれば交換してみます。家具の下敷きや強い折れ曲がりで、外から見えない断線が起きていることがあります。
ONU・ルーター・主装置を手順どおり再起動する
機器の一時的な不具合は、再起動で解消することがあります。ひかり電話の場合は、ONUを先に起動してランプが落ち着いてから、ルーターを起動する順序で行います。電源を切ってから入れ直すまでの待ち時間や詳しい手順は機種によって異なるため、取扱説明書に従ってください。
ビジネスフォンの主装置は、再起動によって設定に影響が出る場合があります。保守会社やメーカーの案内を確認してから行い、判断がつかなければ保守会社に依頼してください。
リセットボタンによる初期化は、インターネット接続などの設定がすべて消えるため、再起動とは別物です。通信事業者のサポートから指示があった場合に限って行います。
別の電話機につなぎ替える
正常に使えている別の電話機を、同じ場所の同じ線につなぎます。対応する別の電話機で発着信できれば、元の電話機の故障が疑われます。別の電話機でも繋がらない場合は、配線や回線側の不具合を確認します。
ビジネスフォンの電話機は、主装置との互換性や設定がないと動かない機種があります。入れ替えに使う電話機は同じ主装置に対応したものを選び、判断がつかなければ保守会社に確認してください。
ビジネスフォンで特定の席の電話機だけが繋がらない場合は、別の席の正常な電話機と入れ替えます。電話機を替えても同じ席で繋がらなければ、その席の配線口や主装置側の設定が疑われます。
通信障害・工事情報を確認する
ここまで試しても繋がらない場合は、契約している通信事業者の障害・工事情報を確認します。NTT東日本・NTT西日本は、それぞれ公式サイトで設備の故障情報と工事情報を地域別に公開しています。光コラボ事業者を通じて契約している場合は、その事業者の障害情報もあわせて確認してください。
障害が起きている場合、自社でできる対処はありません。復旧を待つ間は、携帯電話やメールなど別の手段で連絡を取ります。
直らないときの問い合わせ先と伝える内容
問い合わせ先は、電話サービスを誰と契約しているかで変わります。NTT東日本・NTT西日本と直接契約している場合はNTTの故障受付に、光コラボ事業者(NTTの光回線を借りて自社のブランドで提供する事業者)を通じてひかり電話を契約している場合は、その事業者の窓口に連絡します。
NTT東日本の資料では、光コラボの利用者からの問い合わせや故障の申告は光コラボ事業者が受け付け、一次的な切り分けをしたうえで、必要に応じてNTT東日本に連絡する分担になっています。窓口に迷ったら、請求書の発行元を確認してください。
NTT東日本の故障受付は、Webの「Web113」で24時間受け付けています。電話による受付は平日・祝日の9時~17時に録音で受け付ける形で、2026年4月4日以降、土日と年末年始(12月29日~1月3日)の故障受付はWebのみになっています。週末に電話が繋がらなくなった場合は、Web113から申告してください。
| 窓口 | 受付 |
| Web113 | 24時間 |
| 電話:加入電話の故障(0120-444-113、局番なしの113) | 平日・祝日の9時~17時(録音による受付) |
| 電話:フレッツ光・ひかり電話の故障(0120-000-113) | 平日・祝日の9時~17時(録音による受付) |
NTT西日本エリアの窓口は、同社の公式サイトで確認してください。
問い合わせの際に次の情報を伝えると、切り分けが早く進みます。
・いつから繋がらないか
・受話器から聞こえる音や、流れるアナウンスの内容
・繋がらない範囲(台数、発信か着信か、特定の相手だけか)
・ONUやルーターのランプの状態
・試した対処法とその結果
・契約者名とお客様ID(契約書や請求書に記載)
停電・災害時に固定電話が繋がらなくなる理由
停電すると、固定電話も使えなくなることがあります。NTT西日本は停電時の案内の中で、利用者側に給電設備がない場合、ひかり電話とINSネットは発着信ができなくなり、加入電話でもコンセントから電源を取って使う電話機は利用できない場合があると説明しています。例として、コードレス電話機、FAX、ビジネスフォン、PBX(構内交換機)が挙げられています。
ひかり電話はONUやルーターが電気で動いているため、停電中はインターネットとともに止まります。加入電話も、オフィスで多いビジネスフォンや多機能な電話機はコンセントから給電しているため、停電の影響を受けます。
同じ案内では、停電が復旧した後に通信できない場合、通信機器の電源をいったん切ってから入れ直すと回復することがあるとしています。
災害時には、停電がなくても安否確認などの電話が集中して繋がりにくくなります。NTT東日本・NTT西日本は大きな災害の際に「災害用伝言ダイヤル(171)」と「災害用伝言板(web171)」の運用を始め、加入電話、ISDN、ひかり電話、公衆電話などから伝言を録音・再生できるようにしています。ISDNとひかり電話でダイヤル式の電話機を使っている場合は利用できません。従業員や取引先との安否確認に使えるよう、使い方を社内で共有しておくと役立ちます。
電話機以外の機器が固定回線で通信できなくなるケース
固定回線は電話機だけでなく、データを送る業務用の機器にも使われてきました。代表的なのが、INSネットの「ディジタル通信モード」を使うPOS端末や、EDI(企業間で受発注データをやり取りする仕組み)の専用端末です。
NTT東日本によると、ディジタル通信モードは固定電話網のIP網への移行にともない2024年1月から段階的に終了しました。その後は補完策としてINSネット上のデータ通信が提供されていますが、従来の通信より伝送遅延が生じることが公表されています。さらに、INSネット64、INSネット64・ライト、INSネット1500は2028年12月31日でサービス提供を終了し、補完策のデータ通信も同時に終了します。
店舗の決済端末や設備の監視装置などがINSネットで通信している場合、電話機は使えているのに、機器の通信だけが繋がらないことがあります。補完策の伝送遅延によって、機器側が通信を打ち切っている可能性も考えられます。思い当たる機器があれば、機器の保守会社に、どの回線をどのように使っているかを確認してください。
2028年12月31日以降、INSネットは使えなくなります。該当する機器があれば、光回線やモバイル回線(携帯電話の電波を使うデータ通信)への切り替えを、機器メーカーや保守会社と早めに検討してください。どの回線に切り替えられるかは、機器の仕様によって決まります。
機器のデータ通信をモバイル回線で行う方法は、次の記事で解説しています。
IoT SIMとは?スマホ用SIMとの違い・種類・料金の考え方と選び方を解説
繋がらない時間を業務に響かせないための備え
固定電話の故障や障害はいつ起きるか予測できません。繋がらない時間の影響を小さくするには、次の点を平常時に決めておきます。
・代わりの連絡手段:会社の携帯電話番号やメールなど、固定電話が使えないときに取引先へ案内する連絡先を決めておきます
・着信の転送:固定電話番号への着信を携帯電話などへ転送する通信事業者のサービスを使えるようにしておくと、社内の電話機や配線が故障したときにも着信を受けられます。回線そのものの障害時に転送が働くかはサービスによって異なるため、契約先に確認してください
・インターネットの予備回線:ひかり電話が止まるとき、多くの場合は光回線のインターネットも止まっています。モバイル回線のルーターを用意しておくと、メールやチャット、クラウドの業務システムを使い続けられます
・機器の配置と契約情報の記録:ONUやルーター、主装置の設置場所と、お客様ID・問い合わせ先を1か所にまとめておくと、担当者が不在でも問い合わせを進められます
予備回線に使えるルーターの種類や選び方は、次の記事で解説しています。