スマホが繋がる場合は、まずパソコン側や接続条件を切り分ける
同じSSID(ネットワーク名)にスマートフォンが接続でき、Wi-Fi経由でインターネット通信もできているなら、回線やルーター全体が完全に停止している可能性は低くなります。ただし、パソコンだけに影響するDHCP、周波数帯、認証方式、アクセス制御などの問題は残るため、主に次の4点を切り分けます。
・パソコンの無線設定と無線LANアダプターの状態
・パソコンが対応している周波数帯と暗号化方式
・IPアドレスとDNSが正しく取得できているか
・セキュリティソフト、VPN、社内ネットワークの認証
この順で確認すると、原因を効率よく絞り込めます。最初からルーターの交換や初期化に進むと、原因がパソコン側にあった場合に不要な作業や停止時間が発生するため、まずは影響範囲の小さい確認から進めましょう。
スマホが繋がると可能性が下がる原因
スマートフォンが同じSSIDに接続し、Wi-Fi経由で通信できていることは有力な切り分け材料です。スマートフォンのモバイルデータ通信を一時的にオフにした状態でもWebページを開けることを確認できれば、少なくとも次のような障害の可能性は低くなります。
・アクセスポイントがまったく電波を出していない状態
・インターネット回線やルーターが全面的に停止している状態
・すべての端末に影響する大規模な回線障害
一方で、スマートフォンとパソコンが同じ周波数帯に接続しているとは限りません。たとえばスマートフォンが2.4GHz帯、パソコンが5GHz帯を利用している場合、同じLANに接続していても無線区間の条件は異なります。そのため、特定の周波数帯やチャネルだけに起きている問題が、パソコンにだけ現れることがあります。
症状は3パターンに分かれる
「繋がらない」と一口に言っても、どこで止まっているかによって原因も対処法も変わります。まず自分の症状がどれに当たるかを確認してください。
| 症状 | 主に疑う箇所 | 確認すべきポイント |
| SSIDが一覧に表示されない | 周波数帯の非対応、無線LANアダプター、DFS | パソコンの対応規格、デバイスマネージャー |
| 接続はできるが「インターネットなし」 | IPアドレス取得、DNS、プロキシ | IPアドレスの値、TCP/IPスタック |
| パスワードを弾かれる、認証に失敗する | 暗号化方式、MACアドレス、接続台数 | WPA3対応状況、ランダムMAC設定 |
複数の症状が混在する場合は、上から順に処理していくのが確実です。
まず5分で試す一次切り分け
Microsoftの現在の公式サポートでは、Windows 11ではまず「ヘルプを表示(Get Help)」のネットワークとインターネットのトラブルシューティングを実行するよう案内しています。そのうえで、Wi-Fiのオン・オフ、機内モード、保存済みネットワークの削除と再接続、モデムとルーターの再起動などの基本手順を確認します。高度な設定を変更する前に、まずここから試しましょう。
機内モード・物理スイッチ・Wi-Fiのオンオフを確認する
意外に多いのが、機内モードが有効になっているケースです。設定アプリからネットワークとインターネットを開き、機内モードがオフになっていること、Wi-Fiがオンになっていることを確認します。
ノートパソコンには物理的な無線オンオフスイッチや、Fnキーとの組み合わせで無線を切り替えるショートカットが用意されている機種があります。持ち運びの際に無意識に押してしまっていることもあるため、キーボード上部の無線マークが付いたキーも確認してください。Microsoftの公式手順でも、Wi-Fiの切り替え項目自体が表示されない場合はハードウェアスイッチを疑うよう案内されています。
ネットワークを「削除」してから再接続する
パソコンに保存された接続プロファイルが壊れていると、パスワードが正しくても接続に失敗します。設定アプリからネットワークとインターネット、Wi-Fi、既知のネットワークの管理と進み、対象のネットワークを選んで削除します。その後、一覧から選び直してパスワードを入力し、あらためて接続してください。
ルーターのパスワードを変更した後、パソコン側に古いパスワードが残っている場合もこの操作で解消します。
パソコンとルーターを正しい順序で再起動する
再起動には順序があります。ルーターとモデム(ONUやホームゲートウェイ)の電源をいったん抜き、30秒以上待ってからモデム、ルーターの順に電源を入れ直します。モデムのランプが安定するまで待ってからルーターを接続するのがポイントです。
この操作を行うと社内やご家庭の全端末が一時的に切断されるため、業務時間中に実施する場合は周囲への周知が必要です。
有線LANやテザリングで繋がるかを確認する
LANケーブルでルーターに直結して通信できるなら、TCP/IPなどパソコンの基本的なネットワーク機能は動作しており、無線LANアダプターやWi-Fi設定に原因がある可能性が高まります。スマートフォンのテザリングでインターネットに接続できるかどうかも、同様の切り分けに使えます。
有線LANでもテザリングでも通信できない場合は、Wi-Fiだけの問題とは考えにくく、パソコンのネットワーク設定全体、VPN、セキュリティソフト、プロキシなども確認する必要があります。
SSIDが一覧に表示されない場合
スマートフォンには見えているSSIDが、パソコンの一覧にだけ表示されない場合は、周波数帯や無線LANアダプターの設定・対応状況を確認します。再起動だけを繰り返すより、次の項目を順番に切り分けるほうが効率的です。
パソコンが5GHz帯・6GHz帯に対応していない
最も見落とされやすい原因です。Microsoftの公式サポートでも、無線LANアダプターがネットワークの発信している周波数帯に対応していない場合や、対応していてもドライバー側でフィルタされている場合にSSIDが見えなくなることが明記されています。
日本では2022年9月に制度整備が行われ、6GHz帯の5,925MHzから6,425MHzまでを無線LANで利用できるようになりました。6GHz帯には、主に屋内で使うLPI(Low Power Indoor)と、低い送信電力で屋内外に利用できるVLP(Very Low Power)があります。一般的な家庭・オフィス向けアクセスポイントでは屋内利用を前提とした製品も多いため、利用場所は機器の仕様と技適上の条件を確認してください。なお、2023年にはWi-Fi 7(IEEE 802.11be)の導入に向けた制度改正も行われています。
つまり、ルーターがWi-Fi 6EやWi-Fi 7の6GHz帯でSSIDを出していても、6GHz帯に対応していないパソコンからは物理的にそのSSIDが見えません。同じ理屈で、2.4GHz帯にしか対応していない古いパソコンからは5GHz帯のSSIDが見えません。
パソコンが対応している周波数帯は、無線LANアダプターの仕様や次の設定から確認できます。表示される項目名はアダプターによって異なります。
・デバイスマネージャーを開き、ネットワークアダプターを展開する
・無線LANアダプターを右クリックしてプロパティを開く
・詳細設定タブに「ワイヤレスモード」「Preferred Band」などの項目があれば、対応する規格や帯域を確認する
パソコンが6GHz帯や5GHz帯に対応していない場合は、ルーター側で対応している2.4GHz帯または5GHz帯のSSIDを有効にし、そちらへ接続します。設定項目やSSIDの分け方は機種によって異なるため、ルーターの取扱説明書もあわせて確認してください。
Wi-Fiルーターとは?役割や種類メリット・デメリットを分かりやすく簡単に解説
DFSでアクセスポイントが一時的に停波している
5GHz帯のうちW53(52・56・60・64ch)とW56(100chから140chまで)は、気象レーダーや航空レーダーと周波数を共用しています。そのためこれらのチャネルを使うアクセスポイントには、レーダー波を検知したらチャネルを変更するDFS(Dynamic Frequency Selection)という機能の搭載が義務付けられています。
DFSが働くと、次のような動作になります。
・DFS対象チャネルを使う前に、一定時間レーダー波の有無を確認するため、その間は5GHz帯で通信できないことがある
・運用中にレーダー波を検知すると自動的に別のチャネルへ移動し、通信が中断される
一方、W52(36・40・44・48ch)はDFSの対象外です。パソコンが5GHz帯、スマートフォンが2.4GHz帯を利用している状況では、DFSによるチャネル変更や一時的な停止の影響がパソコン側にだけ現れることがあります。
急に切れた直後であれば、しばらく待ってから再接続を試してください。DFSが頻発する屋内環境では、ルーターの設定や周囲の混雑状況を確認したうえで、DFS対象外のW52を利用することも選択肢です。一般的な小電力無線LAN機器ではW52・W53は屋外利用できません(法令上の条件を満たす例外を除く)。屋外で5GHz帯を利用する場合は、機器の仕様と利用可能な周波数帯を必ず確認してください。
無線LANアダプターが無効になっている
デバイスマネージャーでネットワークアダプターを展開し、無線LANアダプターが表示されているか、無効化されていないかを確認します。表示されない場合は、Windowsがアダプターを正しく認識できていない可能性があります。パソコンメーカーのサポートページで対応ドライバーを確認し、必要に応じて再インストールしてください。
アダプターが認識されていても、Wi-Fiを管理するWLAN AutoConfigサービスが停止していると接続できないことがあります。WindowsキーとRキーを同時に押して「services.msc」と入力し、WLAN AutoConfigの状態を確認します。停止している場合は、管理者権限でサービスを開始または再起動してください。
ステルスSSIDは手動で登録する
SSIDを非表示(ステルスSSID)に設定しているアクセスポイントは、通常のネットワーク一覧に表示されないことがあります。この場合は、SSIDや認証方式を確認したうえで手動登録します。なお、SSIDを非表示にすること自体は、強固なセキュリティ対策にはなりません。
・コントロールパネルからネットワークと共有センターを開く
・新しい接続またはネットワークのセットアップを選ぶ
・ワイヤレスネットワークに手動で接続を選び、SSID・セキュリティの種類・パスワードを入力する
・ネットワークがブロードキャストしていない場合でも接続するにチェックを入れる
SSIDやセキュリティの種類を1文字でも間違えると接続できないため、ルーターの設定画面や本体ラベルで正確な値を確認してください。
接続はできるのに「インターネットなし」になる場合
Wi-Fiには接続済みと表示されているのにWebページを開けない場合は、アクセスポイントとの無線接続は成立していても、その先のIPアドレス取得、DNS、プロキシ、ルーターの上流接続などに問題がある可能性があります。Windowsの「インターネットなし」という表示は、Windowsがインターネット接続を確認できなかった場合にも出るため、表示だけで原因を断定せず、次の項目を確認します。
IPアドレスが169.254で始まっていないか確認する
この症状で最初に見るべきはIPアドレスです。コマンドプロンプトで「ipconfig」と入力し、Wi-Fiアダプターに割り当てられているIPv4アドレスを確認します。
169.254で始まるIPv4アドレスが割り当てられている場合、WindowsがDHCPサーバーからIPv4アドレスを取得できていない可能性が高い状態です。固定IPアドレスを使っていないのであれば、ルーターや社内DHCPサーバーが正常に動作しているかを確認してください。オフィス環境では、DHCPで払い出せるアドレスが枯渇している場合もあります。
IPv4とIPv6が絡む切り分けは、次の記事で詳しく解説しています。
IPv4が繋がらないのにIPv6は繋がる原因と対処法|トラブル解決ガイド
コマンドでTCP/IPとDNSをリセットする
TCP/IPスタックやDNSキャッシュの不整合が原因で、Wi-Fiには接続できてもインターネット通信に失敗することがあります。コマンドプロンプトを管理者として実行し、Microsoftが案内している次のコマンドを順番に実行します。
・netsh winsock reset
・netsh int ip reset
・ipconfig /release
・ipconfig /renew
・ipconfig /flushdns
実行後はパソコンを再起動して、接続状態を確認してください。
プロキシ設定とDNSサーバーを確認する
社外に持ち出したノートパソコンで起こりやすいのが、社内プロキシの設定が残ったままになっているケースです。設定アプリからネットワークとインターネット、プロキシと進み、手動プロキシ設定がオフになっているかを確認します。
DNSの切り分けには、「ipconfig /all」で利用中のDNSサーバーを確認し、「nslookup example.com」などで名前解決できるかを確認する方法が有効です。DNSサーバーのIPアドレスにpingが返らないだけでは、ICMP応答を無効にしているサーバーもあるため、DNS障害とは断定できません。名前解決に失敗する場合は、社内指定のDNS設定やルーターのDNS設定を確認し、業務用パソコンでは管理者の指示なく変更しないようにしてください。
ネットワークのリセットは最後の手段にする
設定アプリのネットワークのリセットは、ネットワークアダプターとその設定をいったん削除し、再起動時に既定値で入れ直す機能です。効果は大きい一方で副作用もあります。
・VPNクライアントソフトや仮想スイッチの再インストール・再設定が必要になる場合がある
・保存済みのネットワークがパブリックネットワークプロファイルとして扱われ、ファイル共有ができなくなる場合がある
業務用パソコンでは、VPNや共有フォルダの設定情報を控えたうえで実行してください。Microsoftも最後の手段として位置付けています。
パスワードは合っているのに認証で弾かれる場合
パスワードを間違えていないのに接続できないときは、暗号化方式やアクセス制御の設定を疑います。ここはスマートフォンとパソコンで挙動が分かれやすい領域です。
WPA3とパソコン側の対応がずれている
WPA3は現在利用されているWi-Fiの認証方式の一つで、WPA2/WPA3の混在モードを利用できるルーターもあります。バッファローの公式FAQでは、認証方式をWPA2/WPA3に設定した場合、通常はWPA2対応端末がWPA2で、WPA3対応端末がWPA3で接続するものの、端末側の仕様によっては混在モードでは接続できない場合があると案内されています。
同社が示している対処は次の2つです。
・端末側の設定をWPA2もしくはWPA3に固定する
・Wi-Fiルーターの設定画面で認証方式をWPA2に設定する
メーカーや機種によっては、WPA3用とWPA2用のSSIDを分けて設定できる場合もあります。パソコンがWPA3に対応していない場合は、管理者の方針に従ってWPA2対応のSSIDを利用します。認証方式をWPA2へ変更するとセキュリティ強度に影響するため、業務用ネットワークでは利用者の判断だけで変更せず、管理者に確認してください。
ランダムなハードウェアアドレスがMACフィルタを通らない
Windowsには、プライバシー保護のため、Wi-Fi接続時に実際のMACアドレスとは異なるランダムなハードウェアアドレスを使用する機能があります。この機能が有効な状態で、アクセスポイント側が特定のMACアドレスだけを許可する設定になっていると、登録したMACアドレスと一致せず接続できないことがあります。
スマートフォンとパソコンで結果が分かれる場合は、それぞれで使用しているMACアドレスと、アクセスポイント側の登録内容を確認します。Windowsの設定は次の場所で確認できます。
・設定アプリからネットワークとインターネット、Wi-Fiを開く
・ランダムなハードウェアアドレスの項目をオフにする
・既知のネットワークの管理から、SSIDごとに個別にオフにすることもできる
ランダムなハードウェアアドレスをオフにする場合は、アクセスポイント側のMACフィルタにパソコンの実際のMACアドレスが登録されているかも確認してください。なお、MACアドレスフィルタリングは補助的なアクセス制御であり、WPA2/WPA3などの適切な認証・暗号化と組み合わせて利用します。
同時接続台数の上限に達している
アクセスポイントには、機種や設定に応じて同時接続台数の上限があります。会議室や共有スペースなど、スマートフォン・パソコン・プリンター・IoT機器が集中する場所では、新たな端末の接続に失敗したり、通信が不安定になったりすることがあります。
使っていない端末のWi-Fiを一時的に切って接続できるか試すと、この原因かどうかを判別できます。恒常的に上限に近い場合は、アクセスポイントの増設や、業務用と来客用のネットワーク分離を検討する段階です。
ドライバーと省電力設定を見直す
ここまでの設定に問題がなければ、無線LANアダプターを動かしているソフトウェア側を疑います。パソコン特有の原因が集中する領域です。
無線LANドライバーを更新・再インストールする
無線LANドライバーの再インストールを行う場合は、デバイスマネージャーから対象の無線LANアダプターを右クリックし、「デバイスのアンインストール」を選択します。ドライバーを削除する項目が表示される場合は内容を確認して実行し、その後パソコンを再起動します。Windowsが自動的にドライバーを再インストールすることがあります。
この作業で必ず先にやっておきたいのが、代替ドライバーの確保です。Microsoftも、アンインストール前にパソコンメーカーのサイトから最新のネットワークアダプタードライバーを入手し、通信できない場合に備えて別のパソコンでダウンロードしてUSBメモリに保存しておくよう案内しています。自動で入らなかった場合、通信手段がないままドライバーも失うという事態を避けるためです。
省電力機能でアダプターの電源が切られている
ノートパソコンでは、省電力設定によって無線LANアダプターの電源が落とされ、スリープ復帰後に繋がらなくなることがあります。次の2か所を確認してください。
・デバイスマネージャーで無線LANアダプターのプロパティを開き、電源の管理タブにある「電力の節約のために、コンピューターでこのデバイスの電源をオフにできるようにする」のチェックを外す
・コントロールパネルの電源オプションから、プラン設定の変更、詳細な電源設定の変更と進み、ワイヤレスアダプターの設定の省電力モードを最大パフォーマンスに変更する
接続が頻繁に切れる、スリープ復帰後だけ繋がらないといった症状では、省電力設定が原因になっていることがあります。なお、機種やドライバーによっては「電源の管理」などの項目が表示されない場合があります。
Windows Updateの直後に発生した場合
更新プログラムの適用後に繋がらなくなった場合は、ドライバーとの相性が原因である可能性があります。まずWindows Updateで保留中の更新プログラムがないかを確認し、あわせてパソコンメーカーのサポートページで最新の無線LANドライバーが公開されていないかを確認してください。
社内で複数台のパソコンが同時に同じ症状になった場合は、個別のパソコンの問題ではなく更新プログラムの影響を疑い、情報システム部門に共有すると原因の特定が早まります。
オフィスのパソコンだけ繋がらないときに確認すること
社内ネットワークには、家庭用にはない認証や制御の層があります。個人のスマートフォンがゲスト用SSIDで問題なく繋がっていても、業務用パソコンだけが弾かれるのは珍しいことではありません。
802.1X認証の証明書やパスワードが失効している
企業の無線LANでは、端末やユーザーを認証する仕組みとしてIEEE 802.1Xが使われます。デジタル証明書やIDとパスワードで認証するため、証明書の有効期限切れやアカウントのパスワード変更があると、その端末だけが接続できなくなります。
この場合、利用者側でできることは限られます。認証サーバー側のログを確認すれば原因がわかるため、情報システム部門への連絡が最短ルートです。MicrosoftのドキュメントでもNPS(ネットワークポリシーサーバー)のセキュリティイベントログで、拒否された接続試行のイベントID 6273や、受け入れられたイベントID 6272を確認し、Reason Codeを見る手順が案内されています。問い合わせの際は、発生日時と端末名を伝えると調査が速くなります。
VPNクライアント・セキュリティソフトが通信を止めている
VPNクライアントやセキュリティソフトのファイアウォールが、無線経由の通信をブロックしていることがあります。VPNに接続したままスリープさせて復帰した場合など、セッションが中途半端な状態で残って通信できなくなるケースも見られます。
切り分けでは、まずVPNをいったん切断し、通信が戻るかを確認します。セキュリティソフトのファイアウォールを停止して試験する場合は、無防備な状態になるため、業務用パソコンでは利用者の判断で実施せず、情報システム部門や管理者の指示に従ってください。
VPNが繋がらないときの原因と対処法。切り分け手順から再発防止策まで解説
復旧までの代替回線を用意しておく
原因の特定に時間がかかる場合は、業務を止めないための代替回線も検討します。スマートフォンのテザリングは応急処置として有効ですが、複数人での利用や大容量ファイルの送受信では、契約しているデータ容量や端末のバッテリー消費に注意が必要です。
拠点や部署単位でモバイルルーターを用意しておけば、固定回線や社内Wi-Fiの障害時にも業務を継続しやすくなります。無線環境の不安定さが繰り返す場合は、有線LANの敷設やアクセスポイントの配置・台数の見直しとあわせて検討しましょう。
それでも直らないときの見極めと問い合わせ先
ここまでの手順で復旧しない場合は、ハードウェアの故障や、端末・ネットワーク環境に固有の問題も考えられます。むやみに設定を変更し続けるより、再現条件を整理して適切な窓口へ相談するほうが、早く解決できる場合があります。
別のパソコン・別のアクセスポイントで再現を確認する
Microsoftの公式手順でも、別のノートパソコンやスマートフォンで同じネットワークに接続し、別端末では繋がるなら問題のパソコン側に原因がある可能性が高いと案内されています。逆方向の確認も有効です。問題のパソコンをテザリングや別のアクセスポイントに接続し、そこでも同じ症状が出るなら、パソコン側の設定・ドライバー・ハードウェアに原因がある可能性がさらに高まります。
同じ症状の切り分け手順は、次の記事でも整理しています。
Wi-Fiが一台だけ繋がらない原因とは?簡単に解決する方法を解説
フリーWi-Fiが繋がらない原因と対処法 症状別の切り分け手順を解説
USB無線LAN子機による暫定復旧
内蔵の無線LANアダプターに問題がある場合、USB接続の無線LAN子機を使うことで一時的に通信を復旧できることがあります。修理や原因調査までの代替手段として、社内に対応規格を満たす予備機を用意しておくと便利です。
USB無線LAN子機では問題なく接続できる場合、内蔵無線LANアダプター本体、ドライバー、またはアダプター固有の設定に原因がある可能性が高まります。ハードウェア故障と断定する前に、ドライバーの再インストールやメーカー診断も確認してください。
メーカー・ISP・情報システム部門の切り分け
Microsoftが案内しているデフォルトゲートウェイへのpingは、パソコンとルーター間の到達性を確認する判断材料になります。コマンドプロンプトで「ipconfig」を実行してデフォルトゲートウェイのIPアドレスを確認し、そのアドレスにpingを送ります。
・応答が返る場合:パソコンからルーターまではIP通信できている可能性が高いため、DNS、プロキシ、ルーターの上流接続、ISP側などを順に確認する
・応答が返らない場合:Wi-Fi接続、IPアドレス、ルーター側の設定などを確認する。ただし、機器側でping応答を無効にしている場合もあるため、この結果だけで故障箇所を断定しない
pingの結果に加えて、IPアドレス、発生日時、他の端末での再現有無を伝えると、パソコンメーカー、ISP、情報システム部門のどこへ相談すべきか判断しやすくなります。
まとめ
スマートフォンがWi-Fi経由で問題なく通信できている状況は、原因の範囲を絞るための重要な情報です。次の順序で確認すると、原因を効率よく切り分けられます。
・機内モードと物理スイッチを確認し、ネットワークを削除して再接続する
・SSIDが見えないなら、パソコンの対応周波数帯とDFSの影響を疑う
・「インターネットなし」と出るなら、IPアドレスやDNS、プロキシ設定を確認する
・認証で弾かれるなら、WPA3の対応状況とランダムなハードウェアアドレスを確認する
・オフィス環境では、802.1X認証とVPN・セキュリティソフトを確認する
復旧作業と並行して、業務を止めないための代替回線を用意しておくことも実務上は重要です。同じ症状が繰り返し起きる拠点では、その場しのぎの対処だけで済ませず、アクセスポイントの配置や設定、通信回線の構成そのものを見直すことも検討しましょう。